クリスマスにピッタリな「愛」をテーマにした8作品

こんにちは、香水ライターの凜です。

今年も早いもので、いよいよ年の瀬、師走となりました。
12月と言えば、年に一度のビックイベント、クリスマスがやって来ます。

街中はイルミネーションでキラキラし、赤や緑の装飾でクリスマスムード一色に。子供の頃から毎年この時期になると、今年はどう過ごそうか、どんなものを買ってみようかとワクワクします。

今回はそんなクリスマスに相応しい、甘酸っぱい恋愛、刺激的な悪い愛、人類愛、自然界からの愛など、さまざまな角度から感じる「愛」をテーマにした作品を、筆者が香水愛を持ってお届けしていきます。


⏱️ Celesの全ての香水が300円OFF⏱️
12月31日まで
クーポンコード:yj9s

※他のキャンペーンと併用できます。
※初回限定、送料には適用できません。

1,500種類+から選び放題❤️
Celes公式サイト>>


聖なるクリスマスに「愛」をテーマにした8作品をご紹介 

今回、お届けする愛をテーマにした作品は恋愛のみならず、様々な形の愛をご紹介していきます。

 

1.ラブドントビーシャイ(キリアン)~グルマンフローラル~初々しく愛がはじまって深まる過程~

 

香りのノート

Top
ネロリ、ベルガモット、ピンクペッパー、コリアンダー

Middle
オレンジブロッサム、ハニーサックル、ジャスミン、アイリス、ローズ

Last
ムスク、バニラアブソリュート、シベット、シュクレキャラメリーゼ、砂糖、ラブダナム

 

最初にご紹介するのは、コニャックメゾンの御曹司であるキリアン・ヘネシーが創始した、コニャックのように濃厚で甘美、そしてラグジュアリーさに定評あるフレグランスメゾンのキリアンから、ブランドのアイコニック的フレグランスであり、創業にあたり発表した当時6作品(現在は10作品)からなる、「ルーヴル ノワール コレクション(愛が描く甘い誘惑の世界)」の、愛・誘惑・楽園の主題のうち、愛をテーマにした、マシュマロの甘さに支配されそうになるものの、絶妙な爽やかさがほんのわずかにあり、初々しい愛のはじまりから互いに愛し合う段階を描いたようなオーデパルファムのフローラルグルマン「ラブドントビーシャイ」(キリアン)です。

付けた瞬間、はじまりはグルマンフローラルらしからぬシトラス的な爽やかさがあり、シトラスフローラルにグルマンの甘さが添えられているそんなイメージです。本作がマシュマロから着想を得て独自のアコードで表現しながらもねっとりとせずに甘さに溺れなくて済んでいるのは、アールグレイティーの香り付けにも使われるシトラスであるベルガモットのエレガントな爽やかさとオレンジの白い花であるネロリのシトラスフローラルが瑞々しさを添えているからでしょう。

だからこそ甘いマシュマロにほんのりと爽やかなシトラスが合わさることで、オレンジの味がする甘くてジューシーなスイートキャンディーのようになっています。ピンクペッパーとコリアンダーも、溌溂としすぎない穏やかなスパイス感で、静かな温かみを添えています。初恋はレモンの味とも言いますが、それに近い味を香りで感じます。恋人になっていくばかりの手をつなぐことさえ緊張するような初々しい男女の馴れ初めが浮かんできます。

少し時間が経つと、溌溂とした爽やかなオレンジキャンディーが落ち着いていき、ネロリはそのままに同じビターオレンジの花でありながらも、製法のみ異なるオレンジブロッサム(ネロリは水蒸気蒸留法のため、爽やかさと華やかさが同居して、オレンジブロッサムはクリーミーな濃厚で甘い花の香り)と交わり、気品ある華やかさと濃厚でクリーミーな甘さが交わって、ジャスミン、アイリス、ローズと華やかなるフローラルアコードが主張を始めていき、一気に可愛らしいオレンジキャンディーの香りからグルマンフローラルに表情ががらりと変化します。

ですが、ここで強調したいのは、フローラルの王道的なジャスミンでもローズでもアイリスでもなく、作品の半分を占めている蜂蜜そのものの香りがするハニーサックルです。ねっとりとしたハニーの甘さが鼻腔に強く感じとってもスイートですが、透明感が強くて心地よく感じられるのは、美しいネロリのトップから引き継がれているオレンジの花らしいシトラスさの所以です。もし、ネロリがなくオレンジブロッサムだけでしたら、ここまでの透明感はない別の作品になっていたでしょう。

時間が経つといつの間にかネロリが中心となっており、ハニーやジャスミン・ローズ・アイリスの女性的で官能的なフローラルは添えられてはいますが、それ以上に砂糖やバニラのミルク色に近い白い甘さが存在感を増してとってもクリーミーです。ただし、肌と調和するムスクがベースにあるからか柔らかくてこんなに甘いのに心地よくて、どこか安心感さえ感じます。ミルク色のような甘さに着目すると、男性が女性に求める母性や、一緒に同じ時間を過ごす幸せが浮かんできます。二人でいるのが気恥ずかしかった最初の頃ではなくなって、表題通り、「愛を恥ずかしがらないで」となっています。

さて、奥に潜むジャスミン・ローズ・アイリスのフローラルに鼻を傾けると、これらが通常織り成す女性らしさよりも官能性が強く感じられます。これはアニマリックで本能的なシベット(ジャコウネコの分泌物から採取される動物性香料)がひそかに使われているからです。だからこそ、官能的なのです。さらに、主題であるミルク色の白い甘さが母性のようで、そこに官能が合わさると男女が交わり愛を奏でる景色が浮かぶ、背徳的な気分に陥っていきます。「愛を恥ずかしらないで」、何という美しいダブルミーニングでしょう。

「ラブドントビーシャイ」(キリアン)は男女の愛が積み重なっていく過程の様子から、二人が愛し合う様子を甘美でセンシュアルに描いたグルマンフローラルです。甘いグルマンフローラルでありながらも、透明感を大切にしており、男性でも本作を求める方も意外?と多くいらっしゃいます。愛を奏で始めた互いへの贈り物にも相応しい作品です。二人で一緒に付けるのも素敵だと思います。個人的に椎名林檎の「カプチーノ」という楽曲がぴったりと合って聞きながらつけるのも大変おすすめです。

 

2.ローリングインラブ(キリアン)~フローラルオリエンタル~転げ落ちるように恋に落ち、ただ愛だけのために~

香りのノート

Top
アーモンド(アーモンドミルク)、アンブレット

Middle
アイリス、フリージア

Last
チュベローズ、バニラ、トンカビーン、ムスク

 

続いてご紹介する2本目も、キリアンの香りです。キリアンがキリアンパリとブランド名の改名を行い、これまでの作品とは異なる、さまざまな側面からいろんな色を使って複雑に描くのではなく、敢えて一つの感情を取り出して集中的に単色使いで描いていくような肌に馴染んで愛の絶頂を奏でていく、大人なフローラルオリエンタルのオーデパルファム、ローリングインラブ(キリアン)です。

付けたてから杏仁豆腐のような香りがやって来ますが、杏仁豆腐に使われるアーモンドの香りだと気づきます。アーモンドミルクのため香ばしさは控えめです。杏仁豆腐のような香り?にしてはフルーティーなジャムっぽい甘さ?が漂っています。まるでチェリーを甘く洋酒で煮詰めたようです。カクテルのような大人っぽさも感じます。チェリーの正体はアンブレットの甘さでしょう。女性らしいかわいさもあって甘さもある、グルマンっぽい香りかなと考えていたら、次第に表情が変わっていくことに気づきます。

時間が経つと、フルーティーでアーモンドミルクの甘やかなオープニングが続きながら、パウダリーフローラルの代名詞のアイリスとフリージアの織り成す官能の扉に差し掛かります。まだ開花していない青々としたフリージアのつぼみ。その「あどけなさ」「無垢」「純潔」といった花言葉がそのまま香りに宿り、どこか背徳的な感覚を覚えます。

フリージアは清潔感を感じられる清楚な香料ではありますが、本作に限ってはその清潔感が人肌のように感じられて真逆のものになっています。それでも、センシュアルなアイリスのパウダリー感があるからか、生々しさがありながらも官能的でエレガントなままです。男女が褥を重ねているような香りです。なるほど、オープニングの愛らしい甘さは実は女性が男性を誘惑していたのかと、はっと気づかされていきます。

ラストに差し掛かると、ほのかにバニラの甘さがトンカビーンズと共に漂ってきてミルキーな甘さに鼻腔は包まれていきます。だから、生々しい光景は消えて、少し安心感のようなものを憶えます。このまま落ち着いていくのかとホッとするのも束の間、チュベローズの官能的な花の香りが押し寄せて来て、背徳感にまた呼び戻されます。微かにミルキーな甘さからそっと出てくる、ミドルのフリージア&アイリスのパウダリーで背徳的な官能も見え隠れして、ソワソワしてきます。そして、ムスクに誘われて第二の体臭のように肌に馴染みだし、身体から芳香を発します。

ミルキーな甘さは二人の愛の絶頂を示していたのかと気づくと、大変ドキドキします。肌にまとっている香りではなく、肌そのものから香る甘美さだからこそ、愛しの女性からこの香りと共に言い寄られたら、男性はもう堪らなくなるでしょう。まさに、転がり落ちるように恋に落ちて、ただ愛のために。テーマはただ一つでシンプルだから、複雑にする必要はなくシンプルに一色で描写され、そんな香りだからこそ、肌そのもののようなスキンフレグランスとして肌に馴染んで、心を虜にするのです。

ローリングインラブ(キリアン)は愛というたった一つの感情を、シンプルな単色使いでスケッチに描くように丁寧に掘り下げて表現した、肌の上で愛を奏でるスキンフレグランスです。キリアンの魅力の一つに、「甘美」や「官能」があります。だからこそ、ただの肌馴染みの良いスキンフレグランスではなく、そこに女性の肌を香る男性が浮かんでくるのでしょう。キリアンならではの肌で愛を奏でる香りをご所望の方は是非。

 

3.エバ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)~シトラスグリーンスパイシー~性差を超えた原初の愛~

香りのノート

Top
ベルガモット、レモン、ビターオレンジ

Middle
ペッパー、ナツメグ、シダーウッドヴァージニア

Last
タバコリーフ、ベチパー

 

3本目にお届けするのは、イタリアの世界最古の薬局サンタ・マリア・ノヴェッラより、旧約聖書における人類最初の女性の名前「エバ」の名を冠しながらも、(エバとは「命」、「生きるもの」という意味を持つ)男性のファッション見本市で初のお披露目をされるという、まるで性別を持たない魂の集合体そのものの概念を表現したような、エバ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)です。ユニセックスで、シトラスグリーンスパイシーとしていますが最早ノートという領域を超えたような、他にはない香りを持つ不可思議なコロンです。

付けると、真っ白な洗剤のような清潔感ある香りが拡がります。ただし、「サボンフレグランス」とそのまま表現するのはいささか乱暴すぎます。ベルガモット、レモン、ビターオレンジの爽やかな三重奏の奥から、スパイシーで温かみのある、どこか埃被ったようで鬱蒼と生い茂る森林のようなシダーウッドヴァージニアが、主旋律の第一ヴァイオリンのように心地よく響きます。ペッパー、ナツメグとピリッとする香辛料のスパイシー調も寄り添って、和声や対話を生み出す第二ヴァイオリンとして、シダーウッドヴァージニアの主旋律に奥行きや深みを与えています。

それから、本作のもう一つの主旋律たるタバコリーフが圧倒的な存在感を持って登場し、独特なスモーキーの印象を与えながら、煙でオーケストラ全体を包み込んで世界をミステリアスに支配していきます。第一印象がサボンフレグランスっぽくて、ベルガモット、レモン、ビターオレンジとトップにはシトラスしかなく、シトラスは良くも悪くもわかりやすい明るさと親しみやすさがあり、シトラス系統の香りはシンプルな香りになりがちですが、タバコリーフが中心となって他のシダーウッドヴァージニアやナツメグ、ペッパーを率いるコンダクターとなり、単調になるのを見事に阻止しています。

ベースのオリエンタルなベチパーもアーシーな落ち着きと深みを与えて、複雑さを醸し出すことに一躍買っています。

だからなのか、爽やかで清潔感もあるサボン感じるシトラスノートなものの、ありがちな調香にはならず、香辛料的なスパイシー感があって森林のような樹木っぽさもあり、オリエンタルな香りも感じられて、タバコリーフの独特な香りのするスモーキー感と、複雑でつかみどころのない他にはない作品となっています。

エバ(エヴァ)、旧約聖書の原初の女性の名前を指すとは冒頭でお伝えしましたが、確かに白っぽい石鹸のような香りからパウダリーな生花のように感じられたり、タバコの葉からどこか官能的な色気もある大人な女性らしさが解ります。香り全体もユニセックスではありますが、やや5.5対4.5くらいの割合で微かに女性向けな印象です。(実際、そうした商品レビューも複数目立ちます)

ですが、ウッディーのシダーウッドヴァージニアの力強い香りや、ペッパーにナツメグといった香辛料のスパイシー感、オリエンタルで力強くもアーシーな(大地のような)ベチパーから、男性的な要素もしっかりと感じられます。現に「ベルガモットはメンズ向けの香料に感じることが多いけれど女性でも扱える」、「男女問わず扱える」など、そうしたお声も複数上がっており、私自身もサンタマリアノヴェッラで最も大好きな作品ですし、逆に男性が付けていても大変お似合いになると思います。

エバ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)は香料のバランスのみならず、作品名にエヴァという女性名を付けながら、男性のファッションの見本市で初披露目のマーケティングを行うということからも性差を問わない作品であり、聖書の話にはなりますが、もともとの人類の魂の集合体には女性、男性といった性別の概念がないそうで、そうした細やかな部分で聖なる夜に相応しい神聖ささえ表現していると感じられる、神秘的でつかみどころのない、唯一無二の作品です。

 

4.カプリフォーリオ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)~フローラル~愛の絆~コロン

香りのノート

Top
ベルガモット、ジャスミン、レモン、オレンジ

Middle
ハニーサックル、ハニー、マグノリア、イランイラン、ロータス

Last
オークモス、ベンゾイン

 

4本目にご紹介するのもサンタ・マリア・ノヴェッラより、近くにあるすべてのものを包み込む習性から「愛の絆」のシンボルとされ、「優しい気質」の花言葉を持つハニーサックル(スイカズラ)を、カプリフォーリオの名の通りテーマにした、ハニーに包まれた、甘くて香しいジャスミン、マグノリア、イランイラン、ロータスといった花々が満ち足りた愛のフローラルのコロン、カプリフォーリオ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)です。

付けた瞬間から甘やかで濃厚なジャスミンの香りが鼻腔に拡がります。華やかで艶やかなザ・フローラルというよりはサンタ・マリア・ノヴェッラらしいハーバルな青っぽさもあり、どちらかというとジャスミンティーのような涼し気な甘さに近いです。レモンやオレンジ、ベルガモットのシトラスが多めに入っているからか、ひたすらに爽やかな印象で、パウダリーっぽさがオープニングにはなく、日常遣いもしやすい印象です。

ハーバルっぽさとシトラス系によって瑞々しさが際立つ反面、紅茶の香り付けにも扱われる上品なベルガモットも入っているからか、ジャスミンティーのジャスミンとも相性も良く、調和がとれています。ほんのりとハニーサックルや蜂蜜の甘さも最初から感じられます。

時間が経つにつれて、オープニングのベルガモット、レモン、オレンジのシトラス達が落ち着いて、代わりにトップに位置するジャスミン以外にも、ミドルのマグノリア、イランイラン、ロータス、そしてハニーサックルのフローラル達が主張をしはじめるからか、甘さが際立って、オープニングとは対照的にパウダリーめいて、フローラル感が強くなってきます。そして、ハニーの甘さも強くなっていき、ハニーとフローラルの甘美なる相性は言うまでもありません。

次第にラストノートに差し掛かると、オークモス(樹木の苔)のベースにある香りが響き始めるからか、ミドルまでの敢えて肌と馴染まずに個性を出して、ふわふわと空気中を舞うような印象から対照的に、肌との調和を大切にするように落ち着いてきます。フローラルの甘さは前面に出ずに、あくまでハニーサックルの優しい甘さと共に柔らかく肌の上でサボンのように香り清潔感を与えます。女性にはもちろん、男性にも良いかもしれないとレビューに複数見受けられた理由も解ります。

青々とした青春のようなトップノートから、次第に甘く柔らかくなっていって、互いに大人の恋愛を知って愛の絆は深まっていき、ただ恋愛でいう恋の段階で愛には及ばないそんな印象が肌の上で浮いて互いの個性を放つ様子から感じられますが、最終的には二人が一緒になって時を経て、愛の段階を迎え、刺激的で熱烈な甘美さではなく、穏やかで柔らかな甘さの、互いの肌に馴染むほどの愛の絆を思わせる、そんな光景が浮かびます。

カプリフォーリオ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)は珍しいハニーサックルをメイン香料に据えおき、「愛の絆」をテーマにしたサンタ・マリア・ノヴェッラらしい薬草的なハーバル感とナチュラルに肌に馴染むような柔らかで優しい甘さも感じられる、フローラルであっても女性のみならず、男性でも扱えてまさに愛の絆を深められる作品になっています。

 

5.マッチ アド アバウト ザ デューク(ペンハリガン)~フローラル~真の魔性の男、お騒がせネルソン公爵の愛の形~

シングルノート

ターキッシュローズ、レザー、ジン、ピンクペッパー、ベチパー

 

5本目にお届けするのは、1870年に創業されて以来愛され続け、英国王室ご用達の称号も持つ歴史ある英国発のラグジュアリーフレグランスブランド、ペンハリガンより、イギリスの上流階級の秘密と人間模様をボトルそれぞれでキャラクターとしてユーモラスに描くポートレートコレクションシリーズから、ロンドン一美しいと謡われている上流階級の貴婦人を妻に持ちながら、華やかな社交場や夜の劇場など、行く先々で誰もを魅了していく大変魅力的な青年で、時に同性愛を噂されている、香しいマスキュリンな英国紳士の薔薇の作品の罪深い公爵、マッチ アド アバウト ザ デューク(ペンハリガン)です。

肌に乗せると、フルーティーなピンクペッパーとピリッとした凛々しく男らしいブラックペッパーが互いに弾け合って飛び交う中、鋭くて大人な辛口のジンが注がれていく肌を、華やかなターキッシュローズがネルソン公爵のオーラのように包み込んで男性的なローズ作品ということが鼻腔に伝わりますが、それ以上に何故かネルソン公爵の体臭(フェロモン)そのものに感じられて、付けていると彼に心惹かれていき、どことなく罪悪感を感じてしまうという、はじまりから本当に罪深い男の香りです。

時間が経ってもシングルノートのためほとんど香りは変わらずに、まるで付けた自分の肌がネルソン公爵の肌になって、彼の体臭をずっと嗅ぎ続けるような気分で、堪らない背徳感を感じてしまいます。次々と彼に魅了されていくであろう物語の中の女性たちの気持ちが大変よくわかります。物語の外側に居る私たちのことも彼はきっと虜にしていくでしょう。それほど、魔性の魅力的な香りです。

そして、しばらく時間が経過していくと、湿ったレザーのぬくもりとアーシー(大地)のようなベチパーの温かみがターキッシュローズと惹かれ合っていき、ターキッシュローズの主張がとれまろやかになり、柔らかく肌の上で香って、先ほどまで肌の上で香るネルソン公爵の体臭だったのが、自身の肌の上で自身の香りととろけるように調和していくように落ち着きます。気になる異性を誘いたい時にネルソン公爵が力を貸してくれ、付けた人の魅力を引き出してくれる、そんなエネルギーさえ本作からは感じられます。

さて、冒頭でネルソン公爵は同性愛を噂されていると説明しました。実は本当です。ネルソン公爵は獲物を狙うハンターの如く次々に女性たちを落としてきた悪い男のテディと関係を持っています。テディ自身も男としての魅力に大変あふれた人物ではありますが、ネルソン公爵という真の魔性の男の前には叶わなかった。二人のことで分かっているのは、テディの説明文ではネルソン公爵から贈られたらしい、高そうなカシミアのコートをいつも身にまとっていること、何よりネルソン公爵に惹かれていることが明言されています。ロンドンで最も美しい妻に、見向きもせずにテディと愛し合っているのです!(そんなテディの香りは次の項目へ!)

マッチ アド アバウト ザ デューク(ペンハリガン)は女性のみならず、男性も虜にする、官能的で本能に触れるような魅惑の薔薇のマスキュリン・フレグランスです。秋冬の寒い時期も温かく高揚感を与えてくれるそんな香りで、肌の上に乗せて大人な聖夜を共に過ごすのも素晴らしい真の魔性の作品です。

 

6.テリブルテディ(ペンハリガン)~レザースパイシー~自由と冒険を愛しスリルを求める悪い男テディの愛の形~

シングルノート

インセンス、レザー、アンブロクサン

 

6本目にご紹介するのも、英国発のラグジュアリーフレグランスブランド、ペンハリガンのポートレートコレクションシリーズから、自由と冒険、そしてスリリングな刺激を愛し、まるでヨーロッパのスポーツ狩猟の冷静沈着なハンターのように、ゲーム感覚で純真な乙女たちを射止めていくものの、今までのタイプとは違う小悪魔チックな女ヘレンをいつものように撃ち落とそうとして、逆に心を奪われかけたところで、前項目でご紹介した作品の「魔性の男」のネルソン公爵に恋に落ちるという、愛を冷静沈着に仕留めるハンターテディのインセンスが魅惑的なオーデパルファムのテリブルテディ(ペンハリガン)です。

付けた瞬間から、ペッパーによって焦げたようなレザーがインセンス(お香)のスモーキーさに包まれ、アニマリック(動物的)なアンブロクサン(マッコウクジラの体内で作られた結石であるアンバーグリス(龍涎香)を再現した香料)が生々しく感じられて、ガツンと官能の扉が開かれていきます。

動物的な香りなんて狩りをするように女性を落とすことを楽しむテディにぴったりで、焦げたようなレザーがプレイボーイのような雰囲気を出して、それでいてスモーキーなインセンスのミステリアス感が男性慣れしていない、清純な乙女キラーになるのも頷けます。焦げたようなレザーの匂いもハンターが狩りをするときに身に着ける皮手袋を、焦げたような匂いは拳銃の硝煙をなぞらえているのかもしれません。

少し時間が経つと、香りはアンブロクサンのミルキーなクリーミー感が出て来て、最初のパンチが利いている付けたてよりは幾分、まろやかになっていきます。ワイルドで格好良い俺様系な男が時折見せる、思わぬ包容力や優しさ。それでいて謎めいた危険な魅力がある。こんなの男性への恋愛耐性がないお上品な乙女達は肉食動物に狙われるうさぎの如く、一網打尽にされて食いつくされてしまいます。

ただし、彼は真の魔性の男ではありません。あくまで恋愛というゲームを楽しむ狩人です。これまでハンティングが上手くいったのも体制のない清純な乙女達だったからで、そういう耐性があるどころか、彼と同業者?といってもよい、次々と男を虜にしてきた魔性の女たるヘレンには通じず、魅惑的な真の魔性の男たるネルソン公爵に出会って一目ぼれしなければ、もう少しで彼女に落とされるところでした。

そう、魔性の「男」です。異性である魔性の女ヘレンを超えたほどの公爵の真の魔性に誘惑される様からも、彼が真の魔性になり得ぬ、プレイボーイたる所以です。ちなみに公爵の香りと重ねづけすると、動物の本能的な官能と公爵の魔性が合わさってとんでもないことになります。

テリブルテディ(ペンハリガン)は誰かを本気で好きになったことのない、恋愛をあくまでハンターゲームとして楽しむ悪い男のように男性のセクシーさが魅惑的な作品です。恋人と特別な聖夜を迎えるときに身にまとうと、きっと日常を忘れる時間が過ごせるでしょう。

 

7.ラブインホワイト(クリード)~フローラル~純白の愛~

香りのノート

Top
オレンジゼスト、アップル、アプリコット

Middle
スイセン、アイリス、マグノリア、ライスミルク、ジャスミン、ローズ

Last
ムスク、シダー

 

7本目にお届けするのは、1760年にイギリスロンドンで創業し、当時のイギリス国王ジョージ3世に香りのついた革手袋を届け、彼の孫娘にあたるヴィクトリア女王によって、王室御用達に任命された歴史深いラグジュアリーフレグランスブランドのクリードより、1869年のスエズ運河開通式でウジェニー皇后が身に纏った真っ白なドレスからインスパイアされて、調香師オリヴィエ・クリードが生み出した、雪のように真っ白なホワイトフローラルが二人の愛を祝福するような、パウダリーホワイトフローラルのオーデパルファム、ラブインホワイト(クリード)です。

付けた瞬間から、瑞々しいウォータリーなホワイトフローラルのスイセンの粉っぽさもある甘さが真っすぐと強めに鼻腔に届きます。それでも、ピュアで嫌味がない純白の香りだからか、主張が強めでも不快感はなく、むしろ心地よく感じられる方も多い香りです。真っ白な粉雪のようなスイセンに添えられているのは、ジューシーなオレンジゼスト(オレンジピール)、アップル、アプリコットの甘酸っぱくて爽やかな果実の甘みで、冬の空気が綺麗な中に日中温かく照らされる太陽のような温かさも感じられます。雪解けを待つ、春の訪れを知らせるような春風のようにも思える、粉雪が太陽の光に反射する自然からの愛の贈り物のようです。

時間が経つと、オレンジゼスト、アップル、アプリコットのフルーティーノート達は落ち着くため、代わりにスイセンを中心としたアイリス、マグノリア、ジャスミン、ローズの純粋なパウダリーフローラルノートが強調されていく様があまりに美しく、インスパイアされた真っ白なドレスから純白の婚礼さえ浮かんできます。さらに、そこにライスミルクがクリーミーに甘くマリアージュ(見事な調和!)していき、大変すばらしく、何とも甘くまろやかで優しい愛の時間を過ごさせてくれることでしょう。バニラのような甘さに感じられる方もいらっしゃるようですが、恐らくこのライスミルクのことでしょう。バニラよりもクリーミーで優しい甘さが特徴的です。

その後、ラストノートの上質なムスクやシダーウッドともエレガントなハーモニーを奏で、最初から最後までのあまりに美しすぎる純白の香りにうっとりと心を奪われていく。本作以上に純白愛の美しさを表現する香りを私はまだ知りません。それほどまでに完璧すぎる白さなのです。

ラブインホワイト(クリード)は正統派で王道なパウダリーホワイトフローラルです。オーデパルファムの中でも強く香る作品ではありますが、嫌味のない真っすぐな香りのため、付ける量を調節すれば問題なく、公的な改まった場やお呼ばれの席の場で堂々とつけるのも勿論、オフィスでもそっと香らせることで活躍できる作品です。こうした実用性は勿論のこと、聖夜や真冬、春のはじまりに大変にもよく似合い、心に潤いを与えてくれるような他にはない芸術作品です。きっと聖夜の二人を純白の愛で包み込むことでしょう。

 

8.ラブインブラック(クリード)~フローラルオリエンタル~漆黒の愛~

香りのノート

Top
ヴァイオレット、ベリー(ラズベリー・クランベリー)

Middle
アイリス、ジャスミン、ローズ(ブルガリア産・トルコ産)

Last
ムスク、シダー、レザー

 

8本目にお届けするのも、英国の歴史あるラグジュアリーフレグランスブランドのクリードから、今度は先のラブインホワイトの対にあたる作品で(香り自体も真逆で、ホワイトとは全くの別物で、正反対と言ってよいほどです)、アメリカのファーストレディ、ジャクリーン・ケネディ・オナシスから着想を得て(ブラックなのは結婚式を行ったギリシアの黒い砂浜からだそうです)、自立した働く女性に向けて作られた、ヴァイオレットが特徴的なミステリアスで力強いフローラルオリエンタルのオーデパルファム、ラブインブラック(クリード)です。

付けると、強烈なヴァイオレットの香りが飛んできます。フローラル的なふわふわした甘さというよりは、もっとクールで凛々しいキリッとしたヴァイオレットです。ラズベリーやクランベリーも入ってますが、ベリー系にありがちな可愛らしいという感じではなく、あくまで中心は涼し気なヴァイオレットで、奥からラスト(ベース)ノートにあるレザーも大人っぽく密かに香っているのもあり、力強くて格好良い女性というイメージが強いです。

少し時間が経つと、フルーティーなベリーの甘さは和らいで、しっとりとしたシックなパウダリーフローラルのアイリス、妖艶なインド産のジャスミン、甘くて豊潤なローズはブルガリア産とトルコ産の絶妙なハイブリットという、華やかな大人の女性らしいフローラルに包まれていきます。まるでワインやシェリー酒を片手に真っ赤なルージュが良く似合う仕事のアフターの時の女性のようなイメージで、決して可愛らしいふわふわとした甘さではありません。ただし、私の肌は手首の温度が高めなので甘く感じやすいのもあり、人の体温によっては甘さよりもかっこよいクールさの方が目立つでしょうし、部位によって体感は変わるでしょう。

しばらくすると、フローラルの甘さは少しずつ抜けてきて、それでも主役のヴァイオレットはしっかりと残り、大人なムスク、シダーウッド、レザーとベースの面々が強まって落ち着いていきます。トップノートの頃は、クールなヴァイオレットのなかにベリーのフルーティーな甘さがほんのりと感じられて、レザーの香りも見え隠れする複雑でつかみどころのないミステリアス感にときめいて、ミドルでは逆に女性らしい花々が次々と開花していき、それでもクールな女性像は崩さずに、気品あるフェミニンさがそっと添えられたのが、終盤では、スッといつの間にかそんな甘やかな香りは消えて、クールに佇み余韻を残すという、何とも全てががらりと変わるドラマティックさ!

そんな良い意味で大変個性的な香りだからこそ、特別な時にも付けたくなります。静寂の夜になっていき、普段ならばそのまま一人で過ごすけれど、今夜だけは特別な聖夜に心を許せた相手と身を寄せ合い沈黙が空気を温める、そんなひと時の情景が思い浮かんできます。

ラブインブラック(クリード)は個性的でミステリアス、良い意味で邪道なオリエンタルフローラルです。正統派で王道クラシカルなクリードでは珍しいイレギュラーな作品ではあり、まさにクリードらしかったラブインホワイト(クリード)とは真逆ですが、純白の愛も漆黒の愛もそれぞれ対極に美しい香りの芸術を見事に放っています。

余談ですが本作はジャクリーンの好きだった乗馬をしていた場所に生えていたヴァージニアのシダーウッド、大好きな街のフィレンツェからはアイリスを、彼女の先祖の故郷であるフランス東部からはブラックカラントの実を添えた、調香師の作品へのこだわり=愛が込められています。


以上がクリスマスにピッタリな愛をテーマにした8作品の香水紹介となります。いかがだったでしょうか。気になる作品は見つかりましたか?

一年に一度の特別なイベントの一つであるクリスマスに、大切な相手に、あるいは一年頑張ってきたご自身に調香師が愛を込めた香水を贈ってはみませんか?
特別な日の贈り物だからこそご納得いただける、それも長い付き合いになる大事な一本、心から愛せるような作品を選んでいただきたいです。

そのためにも、セレスではご自身の肌との相性をお試しいただくべく、少量からお試しいただけるようになっています。

すっかり真冬の気配となり、まだ始まったばかりだと思っていた今年も、気づけば師走を迎えました。
寒い時期だからこそ心をほっとあたためるようなものを、香水に限らず例えば、お気に入りのカップでお茶を飲むようなひとときを大切にご自愛ください。(この時期になるとチャイが美味しく感じて、粉末を買って牛乳にいれて温めて飲むのが筆者は好きです)



香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。


すべての検索結果