【非公式】ヒカルの碁のキャラクターイメージフレグランスを5本選んでみた!

こんにちは、香水ライターの凜です。

夏の暑さが残りながらも季節は秋になりました。

今の時期は夏の暑さと秋づいた涼しさの狭間の時期で、香水は気候の影響を受けるため、マッチした香水選びが難しいタイミングですが、推し活で選んだ香水であれば、自宅で作品や推しに思いを馳せながら楽しむことができます。

実は筆者にも非常に好きな作品があり、小学生の頃からずっと好きだった「ヒカルの碁」の原画展に先々月、行ってきました。写真をそのまま使っていたと思っていた碁盤が手書きであることや、お金持ちの家での指導碁をする場面に相応しい衣装にするために、トーンを重ねてダイヤ型に正確にくり抜いてセーターのチェック柄を作ったり、しかも週刊誌だから毎週何コマも同じように描かなければならないという、小畑先生の超絶技巧たる生原稿に感服し、ほった先生の描いた美しい世界観を大切にした展示手法からも、イベントに携わったスタッフ陣の愛をひとつひとつから感じられる素晴らしいものでした。

関東での開催は生憎終わってしまいましたが、関西では大阪が9月5日(金)から10月6日(月)、京都が10月31日(金)から12月1日(月)と、それぞれ約1か月ほど開催が予定されています。関東では、初日や土日の人気なタイミングは入れないこともあるほどの盛況ぶりでした。事前予約チケットがありますが、当日券を購入して楽しむこともできるため、フラッと仕事帰りに立ち寄った際であっても観られたのは素晴らしかったです。

今回はそんなヒカルの碁のキャラクターをイメージできるフレグランスを、雅な和の世界を中心としたフレグランス作品から筆者が独断と偏見で選出した5作品を発表していきます。

※あくまで、「非公式」にヒカルの碁ファンが作品やキャラクターのイメージに合わせてご紹介するものであり、版権元様や公式様とは無関係です。決してお問い合わせなどされないようよろしくお願いいたします。

また、本記事には「ヒカルの碁」原作本編の内容にも多く触れており、ネタバレもしっかりとあるためご注意ください。


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ヒカルの碁のキャラクターイメージフレグランスの5作品紹介 

今回選出したキャラクターは主人公の進藤ヒカルや、ヒカルを囲碁の世界に導いた平安時代の天才棋士藤原佐為、ヒカルの永遠のライバルの塔矢アキラのほか、物語が展開するキーキャラクターを中心に選出をしています。

1.光芒 Shaft of Light(J-Scent)~シトラスフローラル~【進藤ヒカルイメージ】

 

香りのノート

Top
ベルガモット、レモン、オレンジ、グレープフルーツ

Middle
スズラン、マグノリア、ジャスミン、オレンジブロッサム、ガーデニア、ローズ

Last
アンバー、 パチュリ、サンダルウッド、オークモス、ムスク、 バニラ

 

1本目にお届けするのは、日本の美意識、伝統や文化をテーマに香りを和える(あえる)ことで創り出した和の香りの日本発フレグランスブランドJ-Scent(ジェイセント)より、空から差し込む光の光芒を表現した、自然の生命の力強さを感じさせる、迷いながらも未来へと歩いていく進藤ヒカルの在り方のようなオードパルファムの光芒(ジェイセント)です。

付けたてから、強いシトラスの展開が始まり、強い光の眩さを感じます。ベルガモット、レモン、オレンジ、グレープフルーツの四重奏が粗削りに奏でられ、柑橘の持つ酸味に苦み、そしてお日様を思わせる温かみが自然の豊かさのように押し寄せてきます。シトラスの力強さに隠れた花々の甘みもほんの微かにまるで優しい蜂蜜の甘さのように感じられて、少年期の小学生・中学生の頃の佐為と出会って囲碁をはじめたばかりの屈託ない笑顔を浮かべるヒカルの姿が浮かびます。

次第にトップの強いシトラス調が和らいでいきますが、柑橘の明るさや元気さ、光は失われず主旋律に乗ったまま、柔らかな白い花々と二重奏のように展開していきます。ジャスミンやローズといった華やかで女性らしさの代表格の花も入っていますが、そんな強い花の香りの感じはせず柔らかな甘い蜂蜜めいた花のブーケです。

そのため、女性的でフェミニンといった感じにはならず、優しさと爽やかさがあります。それからしばらくして、フローラルノートは落ち着いて、ムスク、サンダルウッド、パチュリと柔らかで優しいパウダリーなベースノートに、バトンタッチするように落ち着いた大人らしくなっていきますが、光芒の名が示すように光のようなシトラスはずっと奥深くベースに宿っています。

ヒカルの碁の魅力の一つは、何と言っても進藤ヒカルの成長物語にあります。そして、進藤ヒカルの最大の魅力は、どこにでもいる普通の少年(青年)という部分です。ヒカルは年相応のわんぱくな小学生期に、平安時代の天才碁打ち、藤原佐為と出会い、現代の最強棋士塔矢行洋の息子であり、そんな父親から2歳から囲碁教育を受けてきたヒカルと同じ年の小年6年生なのに、プロ棋士顔負けの実力を持つ塔矢アキラという傑出した存在とも宿命の出会いを果たします。

中学に上がって囲碁部で友情を育んでいく最中、囲碁部の中学生団体戦で塔矢アキラと再戦した際に、はじめて出会い戦った時とは異なり、佐為が打つのではなく、自分の囲碁を試してみたいと打つも、塔矢に未熟さを失望されて大敗し、もっと強くなりたいと幼さが抜けないながらも切磋琢磨して、純粋に碁を楽しむ囲碁部と別れを告げて、プロになる登竜門の院生で己の未熟さや弱さを知りながら成長していきプロになって、佐為との別れで大きな傷を負っても立ち直って、一人前の大人になっていく。勇者でも傑物でもない、等身大の一人の人間の物語だからこそ、引き込まれていくのだと思います。

大人になっても真っすぐな彼らしさはずっとそのままです。ヒカルの前に佐為が取り憑いた人物であり大切な存在でもある本因坊秀作の贋作を作り、秀作の名を穢した挙句に、指導碁でも人をいたぶり心を折って敬意の感じられない碁を打った、かつて佐為とヒカルが激高して倒した相手に、北斗杯予選で因縁の再会をして、ヒカルは佐為から受け継いだ碁で冷静な勝利をする姿は、中学生の頃にイカサマをしてお小遣いを貰っていた三谷を心配して止めた真っすぐなヒカルの在り方そのままでした。

光芒(ジェイセント)は、シトラスがずっと真っすぐで温かくて明るい光そのもののようで、時間が経っても本質の光は変わらない、進藤ヒカルそのものを表しているかのような作品です。シトラス「フローラル」とありますが、シトラスが強くて男女問わずに付けられて、軽やかで季節問わずに付けたくなる、気分を明るくさせてくれる作品です。

 

2.辻が花(R fragrance)~フローラル~【藤原佐為イメージ】

香りのノート

Top
グレープ(葉・果皮)、イランイラン、クローブ

Middle
ウィステリア(藤)、スミレ

Last
ヘリオトロープ、ムスク、サンダルウッド

 

2本目にご紹介するのは、日本の文化や四季の繊細さや豊かさを表現した、同じく日本初のフレグランスブランドであるR fragrance(アールフレグランス)より、日本の伝統技術の着物の上にのみ咲く幻の辻が花から着想を得て時を超えて表現する、藤の花が主役の藤原佐為が連想されるオードパルファムの辻が花(アールフレグランス)です。

トップから「紫の色」の匂いを感じます。また、はじまりから「藤の花」がとめどなく咲き乱れていきます。もう一つのメイン香料であるグレープ(葡萄)も鮮烈に香りますが、グレープ(葡萄)ではなく藤です。他のイランイラン、クローブ、ミドルのスミレ、ラストのヘリオトロープ、…って藤以外の香料を見ながら香っても、「確かに入ってはいるけれど、紛れもなく藤の花の香りしかしないし、自然に咲いている藤ってこんな香りですね」と矛盾した言葉が出るほど、藤の存在感が非常に大きいです。藤そのままの香水と言っても差し支えないように感じます。

トップに位置するもう一つのメイン香料のグレープ(葡萄)は主役の上品で涼し気な藤の香りに瑞々しくて豊かな甘さと、どこか陰のあるしっとりとした雰囲気を添えます。ほんのりと添えられているイランイランが大人の持つ色香をそっと乗せつつ、クローブの隠し味ならぬ隠し香のほのかなスパイシーさがあるから、和の香水にありがちなパウダリー感が強すぎない、付けやすさもあります。

ミドルになっても、涼し気で美しい藤の花の香りのまま、スミレのパウダリー感に包まれていき、上品さと嫋やかさが増していきます。さらに時間が経って、ラストノートに差し掛かると、パウダリーで繊細なムスクやサンダルウッドの面々にまろやかな甘さを持つ紫の花を咲かせるヘリオトロープが柔らかく甘やかに香って、青々とした草花らしさを感じさせながらも、蜜のように甘く優しく消えていきます。佐為が消えた後に夢の中で出会った情景が浮かんで、あの優しい笑顔が思い起こされます。

ヒカルの碁の魅力を語る上で、藤原佐為と進藤ヒカルの関係性は外せません。ヒカルの碁の主人公と言えば進藤ヒカルですが、実は藤原佐為ももう一人の主人公です。生前、平安時代に都で天皇の指導碁を行っていたものの、指導碁仲間との対局で相手の不正に敗北し、さらに不正の汚名を着せられて都を追放されて、碁打ちとして未練を残したまま、失意のまま入水自殺をします。生前目指していた「神の一手」に届きたいと一度は本因坊秀作のもとに江戸時代に蘇り、肉体の無い自分の代わりに秀作に全ての対局を打ってもらって目指していくも宿主の秀作が流行り病で死んで断たれ、現代でヒカルの元に蘇って、「神の一手」を一緒に目指していく所から物語ははじまります。

全て佐為に打たせていた秀作の時と異なり、最初は佐為だけが周りと打っていたものの、塔矢アキラの碁への熱き想いに感化されていき、自分でも碁を打ちたいと興味を持ち、自分も一緒に打ち始め、いつしか佐為はヒカルを導く師匠のようになっていきます。誰よりも近い場所で小学生時代からヒカルの持つ才に気づいて、自分の力だけで勝てない悔しさに初めて涙した時に寄り添い、石の流れを感じるように教え、最も近い場所でずっと一緒に見ていたのは佐為だけでした。

碁打ちの技術だけではなく、人としての心の正しさや碁打ちとしての在り方も教示していきます。プロの登竜門である院生に合格して入って、スランプに陥って大きく躓いた時に、ヒカルの実力が付いてきたからこそ一手の重さが解るようになって、恐怖からか打ち方が守りに入って対局でも微妙に表れるから勝てなくなってしまったことを告げ、塔矢アキラの勇敢さを持つように鼓舞しました。

印象的なエピソードとしては最もヒカルの心の弱さが表れた、プロ試験でのことです。伊角が打ち直しの反則負けを緊張状態でしてしまった時に、ヒカルは勝ちの重さを知っているからこそ、盤面が劣勢で逆転勝ちの考えていた一手もあったのに、自分のことを信じ切れずに揺らいで反則負けを突こうと躊躇っている間に、結局、伊角が投了を申し出てしまい、後味悪い終わり方をしたことがあります。

尾を引いて、本来は格下の相手にも酷い碁を打ってヒカルは負けて調子を崩して、ヒカルが自分の碁を信じ切れずに反則負けに縋り付こうとした心の弱さを嘆いた時に、佐為は自分が伊角の代わりに打つから、あの日の一局をやり直そうとヒカルを支えます。初期のオープニングテーマ曲のはじまりの歌詞がヒカルと佐為の関係性そのものを表現しているのではないかとさえ考えます。

ヒカルがプロになって、棋力も上がって成長していくほど、皮肉にもそれは佐為としての存在は薄くなり、ヒカルが評価されていくことになります。神の一手を目指していける輝かしい未来があるヒカルと、未来がなく何時消えてしまうかわからない自分。また、神の一手、一局に届くためには、相手に同じくらいの畏れを抱くほどの相手が必要で、現代最強の棋士、塔矢行洋との対局を求めて、ついに実現することとなります。

やっと自身と同じくらいの力量の立ち位置である対局相手の塔矢行洋の全力に死力を尽くして応えた末に、今までで最高の対局をして勝利を収めて歓びに包まれるも、ヒカルは塔矢名人が打ち方を変えていたら、佐為が負けていた可能性を伝えます。その瞬間、神様が自分を現世に蘇らせたのは、ヒカルにこの一局を見せるためであったことを悟り、自分以外の周りの人間もヒカルの才能や実力に気づき始めて、ヒカルには輝く未来が用意されていること、神の一手に自分が辿り着くのではなく、永い千年、二千年の時を受け継がれていくものであると、自分の役目の終わりを知り、最後まで一緒に居られないことや碁を打てないことを嘆きながらも幸せだったと成仏します。

佐為が消えてヒカルは、秀作みたいに全部佐為に打たせればよかったし、自分が打ったから佐為が消えてしまったんだと深く悔恨し、碁を打つことをやめて絶望します。中学生時代の囲碁部の仲間や棋士仲間が心配するも、永遠のライバルたる塔矢アキラの言葉さえ届きませんでした。それでも、ヒカルは最終的に立ち上がり、自分の碁の中にずっと探して見つからなかった佐為が居たことに気づいて、立ち直って再び未来に向かって歩き出します。その後、何も言わずこの上なく優しい笑顔で佐為が指導碁でヒカルを導くときに使っていた扇子を手渡す夢を見て、現実で買うことでヒカルは扇子を受け取って佐為と共に進んでいきます。だから、佐為はもう一人のヒカルと共に歩む主人公なのです。

このことは進藤ヒカルの名前に藤原佐為の藤があって、そして、ヒカルと藤(佐為)が共に進むと込められていることにも表れています。佐為という名前も、「佐」は「手助けをする」ことに由来し、「為」は「ため(目的)」と「有為・無為」の「因縁による現象の生滅」を示し、「ヒカルを手助けして、神の一手に導くために存在していた」という切なくも美しい名前です。

辻が花(アールフレグランス)は、紫色で藤の香りが優美な気品のある作品で、藤原佐為の姿が思い起こされます。見た目姿が美しいだけではなく、碁に対する姿勢に物語での佇まいや在り方、そして名前までもあまりに美しい彼が浮かびます。以上、遠い過去に思いを馳せたくなった時にもお勧めしたい、日本の伝統文化の辻が花をオマージュした珍しい藤の香りでした。

 

3.ヒスイ(J-Scent)~グリーンフローラル~【塔矢アキライメージ】

香りのノート

Top
ベルガモット、レモン、オレンジ、カシス

Middle
スズラン、チュベローズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、イランイラン

Last
アンバー、パチュリ、サンダルウッド、オークモス、ムスク

 

3本目にお届けするのは、進藤ヒカルのフレグランスと同じく日本の美意識、伝統や文化をテーマに香りを和える(あえる)ことで創り出した和の香りの日本発フレグランスブランドJ-Scent(ジェイセント)より、緑と白の神秘的な東洋の宝石翡翠を解釈し、緑の新緑の目覚めるような鮮やかさに白のセンシュアルさが合わさった、原石が研磨されて美しい宝石となるように、何度繊細な心を砕かれることがあっても、心正しく真っすぐと迷わずに自分の信じた道を勇敢に進み続けて、より強くなる塔矢アキラのようなオードパルファムのヒスイ(ジェイセント)です。

はじまりから、新緑の芽吹きを思わせる森林のようなカシスの強いグリーンの風が爽やかに吹きます。同時にスズランやチュベローズ、ジャスミン、オレンジブロッサムなどのホワイトフローラルがセンシュアルに透明感ある甘さでパウダリーな優しさの、緑と白のコントラストが迎えます。厳かさや静謐さもあり、神社の森も想起されます。まるで普段は上品で育ちの良さが滲み出ていて物腰も柔らかいけれど、囲碁のことになると打って変わって熱くなって、勝負の場では容赦せずに相手を圧倒して薙ぎ払っていく、鬼神のようになって普段の穏やかさとは正反対な二面性を兼ね備える塔矢アキラのようです。

時間が経つと幾分柔らかくなって肌に馴染んでいくものの、ベースにはしっかりとグリーンの強かさからくる静謐な厳かさはしっかりと残っており、ラストノートでオークモスやサンダルウッドと重なり合うことで、苔や樹木由来のフローラルとは違う緑の不可思議な甘さも感じられながらも厳粛さは変わらない、塔矢アキラの凛々しさや心の強さを感じられる絶妙な作品です。

ヒカルの碁のほった先生が伝えたかったであろう主題のうちの一つを語る上で、塔矢アキラという存在は欠かせません。塔矢アキラの魅力はひたむきさにあります。塔矢アキラという人物の根源と言っても良いほどです。塔矢アキラにとって進藤ヒカルとの出会いは衝撃的なものでした。アキラは小学6年生の段階でプロに近い実力を持ち、同世代の子供は誰も全く相手にならず、父親である塔矢名人は子供たちの自信や未来の可能性を潰してしまうのではないかと、極力、同世代の子供とは打たせずに、大人であるプロばかりと打つようになっていました。これは同世代に、対等に切磋琢磨しながら互いを高め合っていける相手が誰もいない事を意味していました。

はじめてヒカルと出会った時、碁を打つのが初めてで稚拙な手つきでありながらも、中身が佐為のため、遥かなる高みから力量を推し量るような展開で結果は負けで、このことにアキラは強く戦慄します。今までヒカルのような同世代の相手には自分側が置き石(ハンデ)をしたり、指導碁のように全力ではなく、相手に合わせて打っていた立場なのに、逆のようなことをされて圧倒的な力の差を見せつけられて、しかも今日始めたばかりで手つきが稚拙で全然打ったことのない子供だったという事実だから無理はありません。

そして、アキラはすぐにヒカルと再会することになりますが、その時にヒカルはアキラから棋士のタイトル戦の賞金総額の話を聞いて、ちょっとプロになってちょこちょこタイトル戦取るのも良いかもしれないというような軽口を叩いて、アキラの逆鱗に触れることになります。

彼はプロ棋士である父親の傍らですべてを犠牲にして研鑽を積んで絶望を乗り越えてさえ高みに届かなかった人間を何人も見てきており、父のことを誇りに思い、真っすぐとたゆまぬ努力を積み重ねてきたアキラ自身にとっても許しがたい侮辱でした。碁に真剣に向き合ってきた人間ならば言う筈がない暴言で、こないだは油断しただけだとし、こんな人間に負けたことが悔しく、そんな自分が許せないから再対局を申し出て、今度は本気の対局をします。結果は、最後まで打ち切ってない時に中盤で勝ち目がないと認めて投了をするアキラの惨敗でした。

尊敬する最強の棋士である父からの誰よりも努力を惜しまない才能と碁のことを愛する才能があると贈られた言葉を誇りに、真っすぐ努力をしていけば良いと信じてきた強い心を大きく揺らがせるほどのものでした。

佐為自身の技量はアキラの父、塔矢名人と互角くらいではありましたが、指導碁のように相手に合わせて打てるほどの余裕を持たせてくれず、だから全力で断ち切るしかなかったとヒカルに言います。アキラの側から見たら、当然佐為のことは知らないため、ヒカルが打っているようにしか見えないことも大きかったのでしょう。

それでもその後、アキラは再び立ち直ってヒカル(佐為)から逃げないと決断し、真っすぐと前を向いて歩きだして、中学2年生でプロ入りを決めていく。そんな姿にヒカルも刺激を受けて、今度はヒカルが佐為としてではなく、自分をライバルと認めてもらおうと追いかけるようになっていきます。

プロになったヒカルとアキラが名人戦予選で対局した時、アキラはヒカルをライバルと認めます。長い道のりでした。ヒカルとして打ちたいと佐為に頼らずにはじめて対戦した中学団体戦ではアキラは失望して激情し、それ以来ずっと(ネット碁でSaiとして打っていた佐為と対局したことはあるものの)二人は打ったことはありませんでした。

そんな二人の行く末を見据えて、桑原本因坊は囲碁は二人で打つものであり、一人の天才では神の一手は成し遂げられず、二人の同じくらいの才に溢れた者が居て初めて成り立つものだと言います。これが、ほった先生がヒカルの碁という作品に込めたメッセージの一つだと考えています。

二人が対等になった時に塔矢アキラが佐為に気づいたことを最後にご紹介します。アキラはヒカルの中にインターネットで打ったSaiを今の対局に感じたと語りだします。そして、ヒカルの中にもう一人の人間Saiが居て、そのSaiは自分が初めてヒカルに出会った頃と対局したヒカルと同一人物だと、ヒカルしか知らなかった「佐為」の存在のことを作中唯一見抜きます。真っすぐと心正しく、努力を積み重ねるひたむきな塔矢アキラだから出来たことです。

最初の時に全力の対局で父親と同じぐらいであろう棋力であった佐為に大敗しても、そこから逃げたり、言い訳してごまかしたりせずに碁とヒカル(佐為)へひたむきに向き合ってきたアキラだからこそ、気づけたのです。だから、超常現象のようなことであっても、流石に平安時代の霊が蘇ったなどまでは解りませんでしたが、碁を通じて本質を見抜くことができました。そして、その直後、それも含めてすべてが「ヒカルの碁」であると伝えたシーンを読んで、タイトル回収までの物語の美しさに感服いたしました。

ヒスイ(ジェイセント)は静謐さと厳かさを兼ね備えた緑と白の宝石、翡翠をテーマにしており、瞳の翡翠色だけではなく、気品ある物腰柔らかで儚そうな雰囲気に反して、碁に対して誠実に真摯でひたむきな在り方を貫く強さというギャップが塔矢アキラそのもののような本作は、ちょっと背筋を伸ばして、姿勢を正したい時にそっと付けると勇気をくれる、そんな作品です。

 

4.沈香 Agarwood(J-Scent)~ウッディインセンス~【塔矢行洋イメージ】

香りのノート

Top
オレンジピール、シナモン

Middle
シダーウッド、ベチバー

Last
サンダルウッド、アンバー、ムスク、パチュリ

4本目にご紹介するのは進藤ヒカル、そして塔矢アキラのフレグランスと同じく日本の美意識、伝統や文化をテーマに香りを和える(あえる)ことで創り出した和の香りの日本発フレグランスブランドJ-Scent(ジェイセント)より、作中で絶対的な強さを誇り、進藤ヒカルのライバル塔矢アキラの父親で、藤原佐為の永遠のライバルたる、厳格で落ちつきがありながらも、猛き碁への熱意を秘めた、塔矢行洋名人のように落ち着きと厳粛さと温かみが共存した、和服や寺院を想起させるオードパルファムの沈香(ジェイセント)です。

トップから香木が焚かれたような、どこか懐かしい日本人に馴染み深い寺院のお香のような静謐な和の香りがスモーキーウッディに香ります。トップはオレンジピール、シナモンなどの洋の香料が入っていますが、あくまで主題は表題にある「沈香」で隠し味的に扱われていて、シダーウッドのスパイシーさととても相性が良く温かみを与えています。ヒノキのように感じられる方もおられるでしょう。付けた瞬間、体感温度が少し下がるような寺院近くの早朝の森林の凛とした空気や寺院の厳かさと、木々の温かなぬくもりが、まるで碁に対する厳格さや棋士としての威厳と、息子アキラや碁に対する愛情が共存する塔矢行洋のようです。

時間が経っていくと、トップのオレンジピールやシナモンの温かさが、ミドルノートのベチバーの湿った土のようなアーシーさに飲み込まれていって、香りの粘性や深みが強まり、泥のような苦みや力強さが強調されていきます。まるで碁を打っている時の塔矢行洋の厳格さ、さならがです。

もう少し時間が経ってラストに差し掛かると、ベチバーも落ち着いて、香木としても扱われる甘やかさもあるサンダルウッドが温かなシダーウッドと二重奏を奏でるように、ムスクにスモーキーに包まれて、あまりに柔らかく香ります。トップとミドルの厳しさからは打って変わって、同じフレグランスであることが信じられないほどの柔らかさです。

ラストの香りは、塔矢行洋が幼い頃の息子アキラから自分に囲碁の才能があるか尋ねられた時に、それがあるかは自分には分からないものの、そんな才能がなくとももっとすごい才能をふたつ持っていて、一つ目は誰よりも努力を惜しまない才能、二つ目は囲碁を際限なく愛する才能だと、息子の頭を撫でながら伝えた場面が思い起こされます。

塔矢行洋の成し遂げた最大の功績は、進藤ヒカルに初めて自分の意思で碁を打たせたことです。塔矢行洋が碁を打つ様はあまりにも神々しく、そして美しすぎた。石を指に挟み、その指をしならせて、盤上で石を放った時に指先が輝く。正されたまま崩れぬ姿勢も塔矢の碁への向き合ってきた姿勢そのもの。初心者で碁に触れたばかりのヒカルさえその所作に見惚れるほどだった。自分もあんな風に打てたらと胸の高鳴りを抑えられず、そしてヒカルは気づいたら「自分で」無意識に打っていた。

この後ヒカルは佐為が自分の身体に入り込んで乗っ取ったと思い込んで逃げ出してしまいますが、ヒカルの意思で碁を打つ第一歩になったのは塔矢行洋との対局があったからでした。

その対局の際に置き石を3つに指定した時に、息子のアキラと同じ数だと告げます。即ち小学6年生の息子、塔矢アキラは現代の棋士最強である塔矢名人に置き石3つで対等に打ち合えるということです。また、対局中の雑談でアキラには2歳の頃から碁を教えて、毎朝打っていて、もう腕はプロ並みであるために、成長していく子供の芽を摘まないようにアマの大会には出さない程特別であるから、勝った子供がいるなんて信じられないと断言します。囲碁に厳しく、最強棋士である行洋がです。

あまり本人を直接褒めることはないものの、行洋が経営し通わせている碁会所でその場にいる人たちに影でアキラのことをよく褒めていたり、彼にとってアキラはそれほどまでに棋士そして父親としての誇りなのです。勿論、親子であっても一人の弟子(棋士)として接していますが、アキラが自分より強い相手であっても、恐怖しながらも自己の成長のために立ち向かう姿を見て、恐怖しながらでも立ち向かっていくことは人を成長させることで、これは以前のアキラにはなかったことで、今のアキラは神の一手に近づいていく姿勢だとするのですが、大切さは禁じ得ないようでよく目にかけています。

そんな二人の関係を見ていて既視感を覚えました。ヒカルと佐為です。愛弟子であるヒカル(アキラ)に碁を伝える最強の二人の棋士である佐為(行洋)。二人の師匠の愛弟子達への接し方は、とてもよく似ています。碁への姿勢や在り方、信念、碁を愛する心がとても良く似ているからです。そして、棋力も等しく最強の二人であれば、宿命のライバルになることも必然です。

佐為がすべてを捧げた行洋との一局=頂上決戦が実現しますが、行洋は終盤の盤面で終局まで正しく相手がこのまま読み切れば自身の半目負け(最も僅差の負け)となると読み、相手も同じ終局が見えているはずで、ヨセという大変難しい手順ではあるものの、佐為の碁を見て、相手は絶対に間違えるはずがないと確信すると、そのまま潔く投了することまで美しかった究極の碁でした。

ただし、頂上決戦で勝利した佐為が名実ともに最強=神の一手に届いたと思われましたが、実は行洋が別の一手を取っていたら、佐為は負けて行洋が勝っていたとヒカルが指摘します。これは、究極完全ではなくてはならない、神の一手ではなかったことを指し示します。

最強の棋士二人がすべてを捧げても届かない神の一手に、佐為は自身が神の一手にたどり着くために神が蘇らせたのではなく、愛弟子=ヒカルにこの棋譜を見せるために蘇らせた=後進に引き継いで神の一手への後の世代に繋げる役割だったと急速に理解します。最強の棋士二人さえ対局中に気づかなかった一手にヒカルは気づいたのですから。他の見ていた棋士達にも神の一手に次ぐ、とても大きな影響を残した一局でした。そして、その後は行洋も負けたら引退するという宣言通り、引退を表明します。

塔矢行洋が引退宣言した時、棋士達のみならず協会の職員、碁会所の人々など塔矢と面識のある人間は皆、戦慄し、タイトルのスポンサーからの電話が相次ぐなど、各界隈に激震が走りました。若手棋士の倉田からはまだ塔矢名人からとってないのにずるい!や、塔矢が破れてタイトルを失った十段戦での熟練した対局相手の緒方からは、最終局は新たな塔矢行洋が垣間見えたのに何故引退だなどと惜しむ声がベテラン若手問わずに複数上がり、棋士たちが塔矢行洋の自宅まで次々とやって来るようになりました。どれほど慕われて、かつ影響力の大きい存在であるということがお分かりになると思います。

当の本人はタイトル所持者としてのしがらみから解放されたく、移動に2日もかかる地方の遠征もなくなり、本気の碁はプロでなくともタイトル戦にしばられずとも打てると満更でもなさそうな穏やかな表情で語りました。プロではない、公式戦でもないどこの誰かも分からないSai(佐為)とインターネットを通じて対局したことで、名局が生まれたことは行洋のその後の碁への向き合い方に大きな影響を与えました。

引退後も目標を問われれば変わらずの最善の一手の追求で、それ以上の喜びに勝るものはないとし、後進の育成や若手人材の発掘などのために各国を飛び回るようになります。このことは、ヒカルの碁の先人から受け継いだものを次の世代に繋げていくというメッセージ性を象徴しています。

沈香(ジェイセント)は力強い樹木の厳粛さと静寂さ、奥に潜んだ温かみが共存した、そしてどこか懐かしさも感じられる、和服の着物をきた男性が思い浮かぶ、美しい作品です。

沈香を使わずに沈香(香木=お寺でも使われる)を表現しているからこそ、ラストノートでこれまでの厳粛な重々しいウッディから表情がガラリと変わり、柔らかくて澄んだような、塔矢行洋の厳粛で厳しいだけではない、心温かな滲み出る人間性に息子や碁に対する慈しみに満ちた側面も伺える繊細な和の作品になりました。本物の沈香を使えばもっとオリエンタルで力強い東南アジア的な雰囲気になったと思います。ヒカルの碁ファンは勿論、和服を着るときや精神を落ち着けたい時などにもお勧めしたい作品です。

 

5.ハロン湾の雨(エラケイ)~パウダリーライトフローラル~【伊角慎一郎イメージ】

香りのノート

スイレン、マグノリア、ムスク、ベリー(レッド)、ルバーブ、ネロリ、オークモス(ホワイトモス)、シクラメン

 

5本目にお届けするのは、世界各地を旅した調香師ソニア・コンスタンが各地の風景を表現するエラケイより、ベトナムにある龍が降り立つ場所を意味するハロン湾を表現した、冷静で穏やか、そして繊細な伊角慎一郎に似ている、スイレンを中心としたオードパルファムのハロン湾の雨(エラケイ)です。

エラケイのフレグランス作品は明確にノートが分かれておらず、グラデーションのように個々の香料が折り重なっていることに特徴があります。付けると爽やかで瑞々しいウォータリーなスイレンやマグノリアの白い花々が柔らかく甘く清廉に香っていきます。他にもネロリやシクラメンなど様々な花々が扱われ、レッドベリーやルバーブなどのアクセント的な甘やかな香料なども入っておりますが、個々の主張は激しくなく、上手く調和をして雨水に溶けているかのようです。

ムスクやホワイトモス、白い花々のパウダリー感はありますが、前述した水に溶けるような感じから、あまりくどくどしすぎずに身にまといやすく、湿気の強い梅雨など香りが強まりやすく香水を付けにくい時期や、対極の重たい香りや温かみのある香りが美しい真冬の時期であっても無難に付けられる作品です。主張があまり激しくなく和を大切にし、誠実で人に寄り添う優しい人柄が後輩たちから慕われ、穏やかで冷静たる伊角さんのようです。

伊角さんが存在しなければ、進藤ヒカルはプロ棋士どころか碁を打つことを止めて、ヒカルの碁は完全に絶たれていました。伊角慎一郎という人物はコツコツと真面目な努力家で院生1位の成績な優等生で、温和で誠実なため、後輩たちからも慕われていますが、メンタルの弱さ故に肝心な部分で勝てなくプロ試験に毎年不合格という、不器用で容量も悪い人です。

院生試験本番で10戦全勝中にも関わらず、直前にヒカルと韓国からの研究生相手の対局を観ており、成長の速さと現在の強さに焦って、ヒカルを相手にした時に、本来の実力では上回っているのに、消極的な守りの碁となって、極めつけは緊張のあまり、反射的にハガシという一度置いた石を別の場所にずらす反則をしてしまい、そのまま二人の間に沈黙が流れたものの自ら投了を宣言する反則負けをして、その後は負け越し続け、ずっと格下だった相手の福井にさえ大敗してしまうというところまで落ちて、最終的に不合格となってしまいます。

そんな伊角さんの転機は中国の棋院での修行で、目をかけてくれた棋士から伝授された感情のコントロール技術を身に着けて、メンタルの弱さを克服したことです。その後、ヒカルの自宅に行って再戦を申し込みます。反則負けをして一瞬でも見逃してくれないかと沈黙してしまったあの時の弱い心の自分のために、これから自分が前に進むためにプロ試験前に打ってくれと懇願します。その決意は、自分が打ったら佐為が完全に消えてしまう、居なくなってしまうかもしれないとずっと心を閉ざしていたヒカルのかたくなな心に、前に向かって真っすぐと進む人のことを応援したいと気持ちは届きました。

何よりもあの時の自分も反則勝ちを手に入れようとして縋り付いた当事者だったため、一局だけと遂に棋士仲間や中学時代の囲碁部の人たちや宿命のライバルで目標だった塔矢アキラにさえできなかった、ヒカルにもう一度碁を打たせることができました。そして、対局後は互いにリスタートだと前に進むことができました。生真面目すぎて人間らしい弱さもあって、でもそんな弱さと向き合って実直に克服した、そんな伊角さんだからこそヒカルの碁をつなぎとめることが、作中で唯一できました。彼が居なければ、ヒカルは遠い過去と遠い未来をつなぐことができませんでした。本当は自分の中に居た佐為に気づかずに、永遠の別れになっていました。彼こそがヒカルを救ったヒーローなのです。

ハロン湾の雨(エラケイ)は軽やかで瑞々しい、センシュアルなスイレンを中心とした花々に果実のアクセントが添えられた、優しい甘さながらも清潔感がある清々しい、伊角さんを思い出す作品です。梅雨の時期と相性が良いと以前紹介しましたが、季節を問わずに心を鎮めたい時に相応しい一本です。

 


 

以上がヒカルの碁のキャラクターのイメージに合った香水紹介となります。いかがだったでしょうか。気になる作品は見つかりましたか?

ヒカルの碁は神の一手を佐為がヒカルと目指すことから、孤独からはじまった、様々な人々とのつながりを経て、遠い過去と未来を繋ぐ物語。もし、キャラクターのことや原作のことを香りでも楽しんでいただける一助になれたら、ヒカルの碁ファンとしても香水ライターとしても大変嬉しく思います。

ただし、苦手な香りや肌質に合わない香料が入ってしまった場合もあるかと思います。そうした時はCelesのサービスで、フレグランススタイリストが推しの香水を選ぶCeles推し活がおすすめです。一人ひとりにあったパーソナルな嗜好を反映させるほか、今回載っていなかったキャラクターや他のコンテンツにも勿論対応しています。

それではまだ残暑が続く、季節の変わり目ですが、お気をつけてお過ごしください。
以上、香水ライターの凛でした。



香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。


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