【非公式】名探偵コナンのキャラクターイメージフレグランスを選んでみた!(前編)

こんにちは、香水ライターの凜です。

梅雨も終わり、夏本番である7月に差しかかりました。

今年の暑い夏でも香水を付けたくなるように、春に公開された映画「隻眼の残像」も大ヒットし、3連続100億円以上もの興行収入を成し遂げた大人気作品の名探偵コナンより、それぞれのキャラクターのイメージに合わせた作品を積年のコナンファンでもあるライターが7月・8月で前編・後編にてご紹介いたします。

※あくまで、「非公式」にコナンファンがキャラクターのイメージに合わせてご紹介するものであり、版権元様や公式様とは無関係です。決してお問い合わせなどされないようよろしくお願いいたします。

また、本記事には、映画「隻眼の残像」の内容についてのネタバレがございますのでご注意ください。また、一部原作本編の内容にも触れています。

 


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名探偵コナンの「隻眼の残像」でも活躍したキャラクターイメージフレグランスの8作品紹介 

前編の今回は、主人公とそのヒロイン、それから映画でスポットを浴びた小五郎に、メインキャラクターの長野県警を中心に、それぞれご紹介いたします。

1.グレープフルーツ(ジョーマローン)~シトラスフレッシュ~【江戸川コナンイメージ】

 

香りのノート

Top
グレープフルーツ、オレンジ(タンジェリン)

Middle
ローズマリー、ミント、ジャスミン

Last
ベチバー、オークモス、パチュリ

 

1本目にお届けするのは、イギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、本作の主人公である江戸川コナンのように、フレッシュな若々しさと爽やかな明るさもありながら、知性を感じさせるグレープフルーツ(ジョーマローン)です。

トップから目覚めるようなグレープフルーツの芳香がジューシーに拡がり、オレンジも伴ってフレッシュな明るさに自然と前向きな気分になれます。また、これらのシトラスノートにローズマリー、ミントのハーバルノートの面々が重なっていることがわかります。無邪気な若々しさの中にも輪郭がはっきりとした凛々しくてシャープな印象を感じられて、まるでただ一つの真実を追求する小さな名探偵のようです。

時間が経つと、グレープフルーツやハーバルノートのアグレッシブさのなかに、柔らかで優しいフローラル(ジャスミン)が漂っていきます。このジャスミンですが、決して夜の官能な花という側面は全くなく、清潔感のあるホワイトフローラルな側面が強いです。あくまでグレープフルーツやハーバルが中心の作品のため、そこまで主張はありませんが、ジャスミンならではのセンシュアルな優しさを与える、居なくてはならない大切な存在に思います。このジャスミンを起点にラストに向かって柔らかくなっていくからです。

ラストになると最初の方のアグレッシブさは消え失せて、代わりに肌に馴染むように柔らかになって、ベチバー、オークモス、パチュリの持つ落ち着きが感じられるようになります。

 

江戸川コナンというキャラクターに対して、映画「隻眼の残像」で印象的に残っている場面があります。長野県警の大和勘助が安全のために死を偽装することになったシーンがあり、親しい間柄にも含めて伏せることになっていました。しかし、コナン君は大和勘助を想う上原由衣にだけ本当は死んでいないことをこっそりと教えていました。そのことをラストシーンで長野県警たちは話題にしており、上原由衣を悲しませたくなかったからだと結論付け、警察や公安とも違うやり方と評しておりました。

警察や公安の法に基づく正義と異なる、人の心も含めて真実を明らかにし、その過程で人の心を傷つけてはならず、例え犯人であっても命を奪ってはならない。コナンが一度だけ犯人を死なせてしまった、本編の「ピアノソナタ月光殺人事件」により真実を突き止めることの重みを知り、推理で追い詰めて死なせた探偵は殺人者と同じと、同じく本編の「名家連続変死事件」で自らの信念を語っています。元恋人のジョディを赤井の死の偽造時に悲しませたことを繰り返したくなかったのでしょう。

グレープフルーツ(ジョーマローン)は小さな名探偵の持つ、若々しさや秘めている真実を追求する鋭い知性と人の心に寄り添う聡明さが共存する作品です。コロンのため軽やかに身にまとっていただくことができ、ジョーマローンならではのコンバイニング(香りの重ねづけ)により、後述するジョーマローンのコロンシリーズから選ばせていただいた工藤新一や毛利蘭とも一緒に付けることができます。

 

2.ウッドセージ&シーソルト(ジョーマローン)~ハーバルフレッシュ~【工藤新一イメージ】

Jo Malone – Wood Sage & Sea Salt-

香りのノート

シーソルト、セージ、グレープフルーツ、アンブレット、シーウィード

 

2本目にご紹介するのは、先と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、本作の主人公である江戸川コナンが高校生になった本来の姿の工藤新一のイメージが湧く、爽やかな知性の中にロマンスが連想される甘さもほんのりと漂う、ウッドセージ&シーソルト(ジョーマローン)です。

付けるとシトラスのグレープフルーツがほんのりと添えられて、主軸はシーウィードとシーソルトが織り成す爽やかな潮風が感じられます。ハーバルのセージが放つスッとする爽快さに、奥に微かに秘められているアンブレットが放つパウダリーなムスクによく似た甘さが江戸川コナンにはなく、工藤新一にあるロマンスです。

 

本作品はトップ、ミドル、ラストの垣根がなく、最初から最後までずっと安定した香りが楽しめます。

先にお伝えしたコンバイニング(香りの重ねづけ)がジョーマローンのコロンシリーズではお楽しみいただけるとお伝えしました。工藤新一のイメージのような本作をベースに、江戸川コナンイメージに感じられるグレープフルーツを添えて重ねると、爽やかさと同時に明るさが強調され二重奏になることで深みが増していきます。

工藤新一にもほんのりと使われていて、コナンではメインテーマだった「グレープフルーツ」が調和し明るい側面を引きだします。また、もともと両者に合った爽やかさに関しては、コナンのミントやローズマリー、新一のセージといずれもハーバル系のなかでも清々しい香りのため相性抜群で最大限に強まります。そこに新一のシーウィードとシーソルトが追い風となります。さらに、コナンで微かに香っていたジャスミンと新一のムスクを思わせるアンブレットが重なることで、新一の持つロマンス的な甘さが強くなるものの、両者ともパウダリーなため綺麗に重なって優しさも強調されます。

ウッドセージ&シーソルト(ジョーマローン)は、小さな探偵から高校生探偵ならではの爽やかさの表現のシトラスのパンチ強いハーバルから潮風が効いたハーバルとなり、新たなロマンスの要素も感じられる、爽やかでありながらも優しさに甘さのある今からの季節にも相応しい作品です。是非、江戸川コナンのみならず、次にご紹介する毛利蘭との組み合わせをお楽しみいただきたいです。

 

3.イングリッシュペアー&フリージア(ジョーマローン)~フルーティーフローラル~【毛利蘭イメージ】

香りのノート

Top
イングリッシュペアー(洋梨)、メロン

Middle
フリージア、ローズ

Last
ムスク、パチュリ、ルバーブ、アンバー

 

3本目にお届けするのは、コナンや新一と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、本作のヒロインである毛利蘭のように、溌溂として優しくてロマンティックなフルーティーフローラルの誰からも好かれるような、イングリッシュペアー&フリージア(ジョーマローン)です。

トップはイングリッシュペアー(洋梨)が中心の瑞々しい甘さのフルーティーノートのオープニングが始まり、洋梨ならではの豊潤な甘さを感じますが、青々しい果物のツンとした爽やかさも感じられて、夏の暑い時期にも合うような上品な甘さです。蘭の爽やかさや芯の強さに可愛らしさと優しさがバランスよく表れているように個人的に感じています。

時間が経っても生き生きとしたイングリッシュペアー中心のメロンとのフルーティーノートは止まずに、ミドルのフリージアを中心としたフローラルノートと合わさります。ミドルになると作品のもう片方の主役であるフリージアの花の甘さが強くなります。繊細で涼しげな甘さがとても女性らしく感じられます。蘭のロマンティックな部分が表れているようです。

ラストになるとフルーティーノートは落ち着き、フリージアと共にベースの強めなパチュリが凛と佇むように強かに香ります。

毛利蘭というキャラクターの魅力は「優しさの中の強さ」と「善性」を等身大の女子高校生が体現している部分だと思います。

そんな蘭の名シーンといえば、原作の「満月の夜の二元ミステリー」にて、灰原哀がベルモットに銃で撃たれそうになった時に隠れていた車のトランクから出てきて、身を挺してかばったシーンです。トランクの中で見えていなかったけれど、銃声を聞いて誰かが打たれるかもしれないと飛び出して、そのまま哀に覆いかぶさって威嚇射撃からずっと守りました。どんなに空手が強くても、蘭はただの女子高校生で、銃を持った人間になす術などなく一方的にやられるだけです。それでも、誰が撃たれているかもわからない状態で、隠れていれば助かるかも知れないのに、飛び出して守ろうとする。そういう人を慮る優しさの中の強さと善性が毛利蘭なのです。

イングリッシュペアー&フリージア(ジョーマローン)は女性らしいロマンティックな甘さと爽やかさに芯の強さが共存して、女性からの人気がとても高い作品です。もし、蘭のロマンティックな側面を強調されたいようでしたら、ネクタリンブロッサム&ハニー(ジョーマローン)を上に重ねてコンバイニングすることで、ふんわりとした瑞々しい桃の甘さが拡がります。バレンタインのエピソードを思い出します。他にも新一のウッドセージ&シーソルトとコンバイニングすることで、それぞれの良い部分が際立って、より甘さも補完されてロマンティックな香りになるのが大変素敵な組み合わせです。

 

4.ウード&ベルガモット(ジョーマローン)~ウッディ~【毛利小五郎イメージ】

香りのノート

ウード、ベルガモット、シダー、オレンジ、レモン(アマルフィレモン)

 

4本目にご紹介するのはコナン、新一、蘭と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、今回はコロンではなくオードパルファムの深みと温かみ、軽やかさを兼ね備えたおちゃらけていながらも大人な毛利小五郎のような、ウード&ベルガモット(ジョーマローン)です。

付けた瞬間から、香木のウードの落ち着きをメインとして、樹木のシダーのスパイシーな温かみが添えられたどっしりと構えるウッディファセット(フレグランスのウッディの香料グループのこと)とベルガモットを中心としたオレンジとレモンが組み合わさったシトラス連合ならではの明るさのある軽やかさの絶妙さが素晴らしい。そんな絶妙さが毛利小五郎というキャラクターにぴったりです。

毛利小五郎の魅力は人間味に溢れている部分です。普段はお調子者でお酒にタバコ、ギャンブル好きで、美人の女性にも弱く、生活のだらしなさを娘の蘭によく窘められています。なので、作中ではおちゃらけた部分にスポットが当たってコミカルに描かれがちです。しかし、隻眼の残像では小五郎はシリアスな格好良い立ち位置となっています。小五郎の警察時代の親友であり、ずっと連絡を取っておらずに久々に会う直前で殺された鮫谷警部の死の真相を突き止めようと事件に関わっていきます。小五郎は鮫谷警部のことを「ワニ」と呼んでおり、実はごく親しい間柄しか言っていないあだ名の「ワニ」を小五郎は現場で取り乱してずっと号泣しながら叫んでおり、殺害現場に居た犯人が知っていたことが決め手となりました。

他にも小五郎は大活躍をします。犯人が意図的に起こした雪崩でコナンや刑事達全員を始末しようとした時に、雪崩を相殺する遠くの装置に射撃をして皆を守りました。下手したら死人が出ていた可能性も充分考えられます。そして、すぐにコナンのもとに駆け寄って庇います。幾ら雪崩が装置で弱まったとは言え雪崩は雪崩です。子供の体では大怪我します。被さって耐え抜いたのも小五郎の大人さならではです。大和警部が渡した描写はありませんが、大和警部は発作で撃てる状況ではなく、雪崩に気を取られて小五郎が撃ったことは誰も見ていなかったと思います。

ただし、その後にもう一度射撃シーンがあります。犯人がアンテナ操車で逃亡した時に公安の風見から銃を奪って、風見が撃ったことにするように言って、エンジンに当てて動きを止める腕前を見せ、小五郎の射撃スキルも明らかになります。民間人が銃を撃つのは銃刀法違反のため、伏せるのは妥当です。極めつけはラストにコナンから雪崩の時に銃を撃ったのは小五郎ではないかと問われ、小五郎は笑いながら否定しますが、もうこれまでの伏線から火を見るよりも明らかです。そして、ワニに弔いの言葉を心の中でそっと贈り、物語は幕を閉じます。

小五郎がその場で親友の名前をずっと呼びながら、泣きながら死を哀しむような人間味の豊かさが真実を突き止める決め手となり、親友を想う心があったからこそ強い信念のもとに人の命を救ったり、犯人を捕まえるために躊躇わずに銃を撃つことができたのです。ウード&ベルガモットのラスト付近のスモーキーさが切なくラストシーンの小五郎の表情を思い出します。

ウード&ベルガモット(ジョーマローン)はシトラスの軽やかな明るさと樹木のどっしりとした落ち着きにスパイシーな温もりが調和した温かい大人の男性のような香りです。もし、小五郎の普段のユーモラスな部分を強調されたいのであれば、ナツメグ&ジンジャー(ジョーマローンをほんの少しコンバイニングすると良いでしょう。スパイシーな香りが小五郎の温かみや明るさを強調してくれます。ただし、ユニセックス寄りで人の肌によっては女性性が強くなってしまうかもしれないので、適宜ご調節ください。

 

5.リスメディテラネ(フレデリックマル)~フローラル~【上原由衣イメージ】

香りのノート

Top
塩水、ジンジャー

Middle
アンジェリカ、オレンジブロッサム、ロータス、リリー

Last
バニラ、ムスク

 

5本目にお届けするのは、香りの出版社というコンセプトでクオリティを追求するフレグランスメゾンのフレデリックマルより、長野県警の上原由衣のように純粋で清らかで美しい百合が地中海の潮風に揺れて咲き誇るような、オードパルファムのリスメディテラネ(フレデリックマル)です。

トップから潮風のヴェールに包まれた大輪の百合の花が咲き乱れていきます。塩水とジンジャーで表現された潮風があるから、爽やかに心地よく生花の青々とした百合の香りを感じることが出来るのでしょう。百合の花は高潔で純粋無垢、美しくて凛とした女性の印象があります。個人的に上原由衣刑事にぴったりなお花だと考えています。

時間が経って潮風が止むと、ミドルノートの花々であるアンジェリカの苦みある青さ、可憐なオレンジブロッサムに、清廉なロータス、そして本作品の主役である百合が美しくフローラルのハーモニーを奏でて、より女性らしい華やかさな側面が目立ち始めます。そしてラストになると、バニラやムスクと出会って大人の女性らしい魅力が高まっていきます。

上原由衣は強く美しく格好いい女性でありながらも、時折大人の女性のなかにも可愛らしい側面が時々見え隠れしているそんな女性です。原作本編では想い人の大和勘助が雪崩に巻き込まれて死亡したと思って、敢助と由衣が刑事を目指すきっかけで憧れていた甲斐巡査の不審死を探るべく、彼女は虎田家に嫁ぎます。その後、夫は死去したために現在は離婚して刑事にも復帰していますが、尊敬する恩人のような存在の不審死を調べるために結婚までする純粋さや行動力は彼女の強くて格好良い部分です。それでも幼馴染だった時からの「敢ちゃん呼び」が抜けない部分だったり、敢助を想うシーンに女性らしいロマンティックさや可愛らしい部分を感じてしまいます。

「隻眼の残像」で印象的な場面があります。愛する人を失った絶望から犯行に及んだ犯人から、愛する人を失ったらどうしたらよいと悲痛な問いかけを受けた時に由衣は涙しました。由衣の初登場回の事件で、本来は愛する人を失った絶望が動機となった犯人にする予定だったと原作者はインタビューで話しており、もしかしたら自分もそうなっていたかも知れないと感じました。余談ですが、逃走中の犯人の車に由衣だけ乗って、敢助やコナン達の一同が乗った警察の車が追いかける構図になっていますがそのことへの暗喩とも取れます。敢助の手を取って上原は飛び移りますが、そうなりそうな時に由衣を救うのは敢助なのでしょう。

リスメディテラネ(フレデリックマル)は百合が中心でありながらも独特の潮風の表現が真夏でも付けやすい、凛々しい美しさと華やかな女性らしさが共存する強さと美しさに、可愛らしさ、そして果敢なさを兼ね備えた長野県警の由衣のような作品です。是非一度お手に取ってお試しください。

 

6.ウード・ウッド(トムフォード)~ウッディ~【大和敢助イメージ】

香りのノート

ウード、カルダモン、サンダルウッド、バニラ、ペッパー(四川胡椒)、ベチバー、トンカビーン、アンバー

 

6本目にご紹介するのは、パンチのきいた個性的で洗練された香りが魅力的なトムフォードから、スパイスの香りの温かさの存在感とダンディーなウッディが冷静さと情熱を秘めた大和敢助警部のような、オードパルファムのウード・ウッド(トムフォード)です。

付けるとカルダモンと四川胡椒のペッパーの存在感が強く、樹木のサンダルウッドのぬくもりが目立ちます。ウード・ウッドというタイトルですが、そこまで香木のウードは強く香りません。そっと添えられている程度です。バニラやトンカビーンもさり気なく香るからか、木々から漂う自然な植物の甘さのように感じられます。また、シングルノートで香りの移り変わりがないため、一貫性もあります。

ウッドの大人としての落ち着きはありながらも、スパイシーが強くて情熱やワイルドさもあり、それでも心根はさり気ないバニラやトンカビーンズの甘さのように優しくて真っすぐな部分が大和敢助警部のようです。

大和敢助は言動が荒々しく粗野に思われがちですが、強い正義感に溢れていて、人の命がかかっているからゆえだったり、立場上をわきまえながらも幼馴染で同僚の上原由衣を気に掛ける繊細さもあります。雰囲気から体育会系で情熱的なイメージが湧きますが、実は頭が切れる冷静な頭脳明晰さがあるという、とにかく二面性が魅力的なキャラクターです。でも一番の魅力は決して揺るがない堂々とした強さだと思います。

「隻眼の残像」でも上原刑事からの大切な人を失ったときあなたならどうするかという問いにその場では沈黙をしていましたが、犯人から同じ問いを投げかけられた時に、大和警部は警察の職務倫理通り、恐れや憎しみにとらわれずにいついかなる時も人権を尊重し、誇りと使命感を持って公正に職務を全うするあり方を大切にすると示しました。劇中でも娘を奪われた復讐に燃える父親に毅然とした態度に徹しながらも、そんな父親が娘を追い詰めた人物を最終的には許したことに寄り添い、恋人を失った犯人に、警察官である犯人が職務倫理を破ったのに、民間人である家族が許したことを伝える姿からも公正さが伺えます。

ウード・ウッド(トムフォード)は大人のウッディとスパイシーが共存する、二面性が魅力的な大人の落ち着きと突き動かす内に秘めた激しい情熱のような作品です。どっしりと受け止める器量もあって、揺らぎそうな果敢なさのある由衣をさり気なく支えてくれる敢助のようです。リスメディテラネと一緒にペアフレグランスとしてご使用されるのも良いと思います。

 

7.ウード(メゾンフランシスクルジャン)~ウッディ~【諸伏高明イメージ】

香りのノート

サフラン、エレミ、ウード、パチュリ、シダー

7本目にお届けするのは、他と被らない個性に定評がありながらも独特の透明感が素晴らしいメゾンフランシスクルジャンより、その名の通り香木ウードを主役としたミステリアスで独特の香りで、落ち着いた大人の印象でありながらも個性的な諸伏高明警部のような、オードパルファムのウード(メゾンフランシスクルジャン)です。

付けた瞬間から香木ウードを中心とした気品ある静寂を感じます。冬の夜空に星々を垣間見るような、深い森奥で一人佇むようなそんな景色が浮かびます。スパイスであるサフランはそこまでホットな感じはせず、スパイシーな樹木のシダーウッドも同様に熱さは感じられず、本作品は静寂そのものです。

爽やかな柑橘のような香りのウッディたるエレミもひたすら影にひそめ、今回はあくまで作品全体のミステリアスさをサフランやシダーウッドと共に密やかに表現しているようです。あくまで主役はウードです。ひっそりと佇む神聖な香りにも感じるのは日本のお寺にも使われている香木や、墨汁の香りと形容されるパチュリの静けさからでしょう。

諸伏高明は大人で冷静沈着、クールな頭脳派で、大和敢助と正反対なキャラクターという印象を持たれている方も多いと思います。しかし、幼馴染でもあり現長野県警の相棒でもある大和敢助が行方不明になった時、単独で強引な捜査をして大和警部の発見と引き換えに左遷をさせられたこともあります。精神的に大人で落ち着きのある諸伏警部ならば道理を弁えており、考えにくい行動にも限らずです。他にも弟の景光の殉職を知っていますが、景光と子供の頃遊んでいて仲の良かった山村警部に弟は元気にやっているとぼかして笑顔で伝えて哀しまないようにしたり、自分も辛いはずはのに人のことを一番に考えられる強さを持つ、とても優しい心の持ち主です。

一方、「隻眼の残像」では犯人が絶望して運のなさを嘆いている時に、運ではなく警察としての職務倫理が無かったからだと諭して倫理を説く正義感の強さもあります。諸伏高明というキャラクターを良く表しているのは、劇中で死の淵を彷徨った時に死んだ弟の景光の幻をみる場面です。幻での景光は実は生きていたと言っていますが、高明は冷静な論理的判断によって、警察の緊急ブザーで呼んだのに一人だけで他の警官がいないのはおかしいから夢だとして、合図の銃を撃って現実に戻ります。救出を無事にされますが、弟の名前を朦朧としながら呼んでおり、家族を大事に想う心も勿論あるのに、振り切って現実を直視する強さもある、諸伏高明の人間性を描いていた場面に想います。

ウード(メゾンフランシスクルジャン)はウードが主役で本来ホットな役割を果たすスパイシーなサフラン、シダーウッド、シトラスのようなエレミもそう感じさせない、個性ありながらも冬の静寂さを思わせるような落ち着いたウードの香りです。大和警部とはウッディ調でウードが香料に入っていることが共通していますが、対照的な香調になっていると思います。それでも、ウードの落ち着いたどっしりと構えている部分は二人にも共通しており、案外似ている部分もあるようにも感じられます。ウッディ香水の嗅ぎ比べに両者をお試しされるのも素敵です。

 

8.アクア セレスティア(メゾンフランシスクルジャン)~シトラスハーバル~【諸伏景光イメージ】

香りのノート

Top
ライム、ミント、ブラックカラント、ネロリ

Middle
ミモザ、グリーン、ローズ

Last
ムスク

 

前半最後にお届けするのは、諸伏高明イメージでお届けした作品と同じく、他と被らない個性に定評がありながらも独特の透明感が素晴らしいメゾンフランシスクルジャンより、天空や天国、神聖さを意味するセレスティアという言葉が「天空の水」と訳され、海の青をイメージした清らかで静寂な、心根の優しい諸伏景光のようなオードトワレのアクアセレスティア(メゾンフランシスクルジャン)です。

トップは凛としたライムとミントの香りが強く、ベリーのブラックカラントや花のネロリはほんのりと添えられている程度でセンシュアルに香り、清潔感がありながらも少し甘めなシトラスハーバルの清々しくて爽やかな印象です。まるで繊細で優しい諸伏景光のように思います。若々しくて警察学校編の姿が連想されます。

ミドルが際立つ頃になると、奥に潜んでいたフローラルの香りがシトラスハーバルの追い風を受けながら香りだしていきます。ミモザやローズもあくまでそれ単体であると解るほどには主張せず、甘く気品あるフローラルの花々として存在しています。オープニングのライムやミントもミドルのグリーンと溶けあうことで奥深さが生じています。ラストのムスクも微かに漂い始めて、爽やかで気品もあるのにどこか官能的に感じてしまいます。警察学校を卒業して一人前の刑事となって、公安で潜入捜査をしていた時の姿の印象が強いです。

ラストになると、ライムやミントも、ベリーのブラックカラントとグリーン、そしてネロリ、ミモザ、ローズの花々も次第に弱まっていき、代わりにムスクの存在感が大きくなって、ムスクに溶けた残香が儚くも美しく肌に寄り添うようにそっと馴染んで立ち消えていきます。ラストノートの肌に溶けて消え入りそうな瞬間が本当に美しく香り、消えないでずっと香っていて欲しいと願ってしまいます。隻眼の残像で高明と出会った景光を見た時のように。

諸伏景光は穏やかで優しい好青年で幼少期に両親を殺されたトラウマを背負いながらも、警察学校時代にその殺人犯が死のうとしたのを憎むどころか逆に助ける心の強さを持っています。そして、自らが公安として組織に潜入した裏切り者だとバレた時は友人や家族に危害が及ばないように自決をしますが、最期まで親友のことを考えていた、立ち位置が変わっても変わらない人を想う心根の優しさが本作のアクアセレスティアとよく似ていたように感じました。

アクアセレスティア(メゾンフランシスクルジャン)は「天空の水」の名は勿論、セレスティアという言葉にも相応しい繊細で優しい香りです。もし、本作が気に入っていただけたならば、オードトワレであるため、ブランドから出ているオードパルファムもお試しになると良いと思います。

 

以上が名探偵コナンのキャラクターのイメージに合った香水紹介の前編でした。
いかがだったでしょうか。気になる作品は見つかりましたか?
もし、推しキャラクターのことを香りでも楽しんでいただける一助になれたら、コナンファンとしても香水ライターとしても大変嬉しく思います。

ただし、苦手な香りや肌質に合わない香料が入ってしまった場合もあるかとは思います。
そうした時はCelesのサービスで、フレグランススタイリストが推しの香水を選ぶCeles推し活がおすすめです。
一人ひとりにあったパーソナルな嗜好を反映させるほか、今回載っていなかったキャラクターや他のコンテンツにも勿論対応しています。

それでは次回の後編でお会いしましょう。暑い夏が続きますが、水分補給にお気をつけてお過ごしください。
以上、香水ライターの凛でした。



香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。


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