こんにちは、香水ライターの凜です。
暑い真夏がまだまだ続きますね。
先月から、今年の暑い夏でも香水を付けたくなるように、春に公開された映画「隻眼の残像」も大ヒットし、3連続100億円以上もの興行収入を成し遂げた大人気作品の名探偵コナンより、それぞれのキャラクターのイメージに合わせた作品を積年のコナンファンでもあるライターが7月・8月で前編・後編にてご紹介しております。
今月は「隻眼の残像」だけではなく、前作の「100万ドルの五稜星」や原作の人気キャラクターを中心にご紹介します。
※あくまで、「非公式」にコナンファンがキャラクターのイメージに合わせてご紹介するものであり、版権元様や公式様とは無関係です。決してお問い合わせなどされないようよろしくお願いいたします。
また、本記事には、映画「隻眼の残像」、「黒鉄の魚影」、「異次元の狙撃手」、「から紅の恋歌」、「天国へのカウントダウン」の内容についてのネタバレがございますのでご注意ください。また、青山先生の別作品「まじっく快斗」シリーズや原作本編の内容にも多く触れており、ネタバレもあります。
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名探偵コナンの「隻眼の残像」&前作「100万ドルの五稜星」他でも活躍したキャラクターイメージフレグランスの8作品紹介
後編の今回は、今年の映画で活躍した安室透や灰原哀、安室と因縁ある赤井秀一、前作の映画でメインだった服部平次、遠山和葉、怪盗キッド、から紅の恋歌で初登場し原作に逆輸入された大岡紅葉、伊織無我など幅広く、それぞれご紹介いたします。
1.アクアユニヴェルサリス(メゾンフランシスクルジャン)~ムスキーフローラルシトラス~【安室透イメージ】
香りのノート
アマルフィレモン、カラブリア産ベルガモット、オレンジ、スズラン、ムスク、オレンジブロッサム
1本目にお届けするのは、前編の諸伏高明・諸伏景光と同じく、他と被らない個性に定評がありながらも独特の透明感が素晴らしいメゾンフランシスクルジャンより、普遍的な、万能のという言葉が「すべてに属する水」と訳され、公安にも黒の組織にも属しながら、喫茶店で大人気店員でもある、「トリプルフェイス」こと安室透(バーボン/降谷零)のような「万能の水」のオードトワレのアクアユニヴェルサリス(メゾンフランシスクルジャン)です。
吹き付けた瞬間から、清潔感ある洗いあがりのシャツと素肌の合間のような香りが拡がります。レモンの酸味にベルガモットの気品、オレンジの明るさが鋭すぎず、柔らかすぎずにそれぞれの個性が溶け合い、パウダリーで清楚なスズランと快活なオレンジブロッサムの花々も女性性が主張しないようにセンシュアルに添えられて、清潔感のあるムスクが爽やかさの中に魅惑的なミステリアスの陰を落とす、そんな作品です。個々が目立ちすぎない絶妙なバランスがあるため、シトラスの香りでもなく、スズランの香りでもなく、そしてサボンやムスクの香りでもない、唯一無二な「アクアユニヴェルサリス(すべてに属する万能の水)」として存在できるのです。
「安室透」は毛利小五郎に弟子入りした探偵で、事務所の一階にある喫茶店の女子高生に大人気な看板店員です。爽やかでスポーツ万能で器用、料理、ギター、ボクシングと多芸多才で、誰にでも明るく優しいという絵にかいたような好青年でありながらも、それは人の懐に入るために演じている仮初の姿のため、どこか陰に隠れたミステリアスさがあります。
彼には「バーボン」という演じている姿がもう一つあります。「バーボン」はコナン達が敵対する犯罪組織の黒の組織構成員です。組織から離反した「灰原哀/シェリー」の捜索をしながら、以前から怪しまれている毛利小五郎に接近するために弟子探偵であり、気さくで明るく優しい喫茶店店員の「安室透」として演じています。が、この「バーボン」も仮初の姿に過ぎません。本来の姿は「降谷零」です。
「降谷零」は日本の公安警察官で、それも全国の公安警察を統括する秘密機関である「警察庁警備局警備企画課(通称「ゼロ」)」に所属し、警視庁公安部の多数の部下を指揮する立場です。冷静で生真面目、そして厳格に職務を全うする強い正義感を持ち合わせています。
降谷零の魅力の一つは正義感の強さと情の厚さです。幼少期の頃もハーフである容姿のことを揶揄され喧嘩をし人種差別に対して憤ることや、手当をしてくれた宮野エレーナ(灰原哀の母親)から激励されて彼女を慕い、行方不明の恩人を探すために警察官を志した部分のほか、幼馴染で当時あだ名で呼び合うほど心を許した親友の諸伏景光と警察学校も一緒で公安に配属され、「バーボン」として景光と共に組織に潜入捜査をし、景光が殉職したことをずっと忘れられずにいます。
だからこそ、近くに居ながら助けなかったと考えている赤井のことは勿論、助けられなかった自分のことも許せないのだと思います。そして、心を許せていた貴重な警察学校時代の同期4人とも全員殉職していることも、いっそう、時折冷酷にもなる厳格で完璧な「降谷零」になろうとしているのでしょう。
ですが、暗号化されたフォルダとは言え、潜入捜査官として致命的な身元を明かすことになる警察学校時代の同期達との写真を手元に残すなど、冷徹で完璧超人な理想的な公安「降谷零」にはなりきれない、情がそこにはあります。降谷零というのも本来の彼ではなく冷徹になろうと演じている姿なのかも知れません。本作品はそんな降谷の揺らぐ繊細さをよく表していると感じ、選出させていただきました。
アクアユニヴェルサリス(メゾンフランシスクルジャン)は、安室透(バーボン/降谷零)のように、透明感が心地よく明るく爽やかでありながらも複雑で、対極の要素であるシャツと素肌の合間のような自然な色香も感じられるという、「すべてに属する水」の如く、幾重もの側面が連なるミステリアスな作品です。これからの暑い時期は勿論、秋冬のお風呂上りにもぴったりな作品です。
2.ダークロード(キリアン)~ウッディレザー~【赤井秀一イメージ】
香りのノート
Top
ベルガモット、ペッパー、四川花椒
Middle
ラム、ジャスミンサンバック、ダバナ
Last
レザー、ベチバー、シダー、パチュリ
2本目にご紹介するのは、真のラグジュアリーは世代を超えて受け継がれていくものという信念を体現したフランス(パリ)のフレグランスブランドのキリアンより、「エクス テネブリス ルクス(闇から光へ)向かうダークロード(闇の紳士)」というタイトルの赤井秀一の在り方や姿そのもののような大人のオードパルファムのダークロード(キリアン)です。
トップからベルガモットが土埃が被ったように渋く酸味だけ残した、焦げたようなペッパーや四川花椒に覆われた、あまりに普段の爽やかなベルガモットのイメージと対極過ぎる闇のオープニングがはじまります。ひたすら重くて苦々しくてただただ大人の香りに、圧倒されていきます。恋人の死や降谷との因縁に赤井秀一がこれまで抱えてきたであろう苦悩が思い浮かびます。焦げた香りも赤井秀一の好きなタバコや射撃が得意な彼らしい拳銃の硝煙も想起されます。
ミドルではオープニングのスパイシーな焦げた香りが落ち着いていき、微かな甘さの洋酒ラムや、ラムとよく似た香りで相性の良いキク科の植物ダバナがフルーティーに甘く展開し、ジャスミンサンバックがお茶の方に使われる品種の方だからか、ねっとりとした甘さというよりは瑞々しさの残る甘さを放ちます。そのため、トップよりはややまろやかになっています。落ち着いたとは言え焦げたスモーキーさは漂い、闇はまだ在ります。闇の中に差し込む光明を感じながらもまだ光にはたどり着けず、光の方へ向かおうと導かれるように迷いながらも立ち上がっていく、そんなイメージがあります。これが正解か、最善かは解らないけれど、相手を傷つけないような選択肢を取ろうと不器用な優しさを持つ赤井秀一のようです。
ラストになると、焦げたようなほろ苦さは大分消えてとても優しくなっていきます。ミドルからのラム、ダバナ、ジャスミンサンバックの甘さが重さを和らげたのもありますが、スモーキーさの性質が大分変わっています。焦げた土埃の苦々しくて重いスパイシーノートから、墨汁のような凛としたハーバルのパチュリを中心とした、温かみのある樹木のシダーウッドや落ち着いたレザーが添えられた、まろやかさのある幾分和らいだ静寂な闇のスモーキーさに変わっていきます。闇はまだ存在するものの夜明けも近く、光に届くのも近い。苦悩を耐え抜いた末に救済に届く、そんな瞬間が浮かびます。
赤井秀一の魅力は誠実さと不器用な優しさです。FBIとして組織に潜入捜査するため、潜入先で宮野明美(灰原哀の姉)と恋人になりますが、潜入前に当時の恋人だったジョディを二人の女性を同時に愛せるほど器用なことはできないと振りました。別に関係性をあいまいにして、何となくお付き合いを続けるという選択も取れますが、相手に対して不誠実だからと同時に愛することができない可能性に気づいた段階で身を引く選択をとったのは、赤井が非常に誠実だからでしょう。
また、組織に同じく潜入捜査をしていた公安の諸伏景光が、組織に潜入捜査をしていたことがバレて逃走した際、ライとして追っていた赤井は、彼が自決しようとしたのを自らの身分をFBIの潜入捜査官と明かすことで助けようとしますが、追ってくる足音に気づいて結局自決をしてしまいます。その足音こそが共に公安から潜入捜査をしている、かつ幼少期からの幼馴染にして親友であったバーボンこと降谷零のものでした。もしも、自分の足音がきっかけで自決したと知ったら、降谷は一生残るほど深く傷つくでしょう。だから、赤井は自分が殺したと降谷に伝えて、憎まれることになりました。
結果的に恋人を振ったことも、自分が殺したと偽ったことも、相手を傷つけている不器用な優しさです。本作品は小説家オスカー・ワイルドの「紳士とは、意図せずして誰かの気持ちを傷つけることがない人のこと」という言葉にインスパイアされており、例え無意識においても相手のことを傷つけない程の真の紳士になるには、沢山傷つき傷つけられた苦悩があって糧としていくしかありません。赤井もそんな風に苦悩と向き合っている最中なのだと思います。
ダークロード(キリアン)は、赤井秀一のように大人っぽくて芯のあるウッディーで、個々が抱えているであろう苦悩と向き合う勇気をくれるような、「エクス テネブリス ルクスダークロード」闇から光へ向かう真の紳士の香りです。「闇の紳士」ではありますが、女性の皆様にも性別問わず、抱えている苦悩に寄り添ってほしい時や向き合う勇気が欲しい時に、是非付けていただきたい作品でもあります。きっと「闇の紳士」が力になってくれます。
3.ライム バジル & マンダリン(ジョーマローン)~シトラスハーバル~【服部平次イメージ】
香りのノート
Top
ライム、オレンジ(マンダリンオレンジ)、ベルガモット
Middle
バジル、タイム、ライラック、アイリス
Last
ベチバー、パチュリ
3本目にお届けするのは、前編のコナンや新一、蘭と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、明るく前向きで心がホットな西の名探偵の服部平次のように、フレッシュシトラスの自然と親しみと同時にスパイシーな刺激を感じられるコロンのライム バジル & マンダリン(ジョーマローン)です。
最初から生命力いっぱいでジューシーなライムとマンダリンオレンジが爽快感溢れるように展開し、すぐに後を追うようにスパイシーで強烈なハーブのバジルがやって来ます。パンチあるライムとバジルの個性が互いにぶつかり合いながらも互いの良さを引き出すように調和するのは、親しみのあるマンダリンオレンジとベルガモットの絶妙さでしょう。さらに、そこに爽やかでスパイシーな独特な清涼感あるタイムがそっと添えられているため、香りの奥行きも感じられます。
服部平次の爽やかさや快活さ、そしてアグレッシブな情熱がシトラスハーバルスパイシーからそれぞれバランスよく感じられます。次第にシトラスは落ち着いていき、ハーバルのバジルやタイムが前面に出てきますが、グリーンの青さやフレッシュな爽やかさは最後までお楽しみいただける、真っすぐなシトラスや情熱的なスパイシーハーバルな部分に、シンプルでありながらも同時に個性を感じられる作品です。
服部平次の魅力は何と言っても「真っすぐな心とひたむきな情熱」です。そんな平次らしさが感じられる話としては、まず原作「そして人魚はいなくなった」が挙げられます。崖から和葉と一緒に落ちそうになった時に、平次は和葉を支えながら木の枝にぶら下がっていました。このままでは枝が折れて二人とも落ちると思った和葉が平次の手の甲を持っていた矢で刺すことで、自分を掴む手を離させて平次だけを助けようとしますが、平次はそれでも最後まで離さずに二人とも助かりました。そして、最後に事件を解決した時に平次は命は限りがあるからこそ大事なもので、だからこそ頑張れるとを発しましたが(是非直接本編で平次の関西弁の入った台詞をご確認ください)、これは服部平次の真っすぐさが感じられるエピソードの一つです。この平次の良い部分は劇場版「から紅の恋歌」でも変わりませんでした。
もう一つは原作「服部平次との3日間」の後編での探偵甲子園でのエピソードです。平次の探偵としてのひたむきな情熱が描かれています。事件が起きた時、平次はドアノブの血を発見してそのままドアをぶち破って突入しましたが、他の事件解決を最優先に考える探偵たちに、中の遺体の状況を確認してからドアか窓ガラスか潜入先を選ばないと、証拠も保全出来ないと非難をされてしまいます。ですが、平次が最優先にしていたのは、「人命」でした。死んだと解らない以上、生きている可能性を信じて無理やりにでも扉をこじ開けたり、窓ガラスを割ってまで入ろうとする。人の命を大切に考えて、事件となるのを未然に防ごうとするからです。そういう熱さを持った探偵としてのあり方こそが平次らしさであり、彼の信念になっているのだと思います。
ライム バジル & マンダリン(ジョーマローン)は明るく快活、そして爽やかながらスパイシーなホットさも感じられるシトラスハーバルで、一見シンプルなようでアグレッシブな個性もあるけれど本質は真っすぐな服部平次らしい作品です。本作はジョーマローンのコロンのなかでも特に完成度が高く、ブランドが推奨しているコンバイニング(二種類の作品の重ねづけ)をしなくても楽しめますが、時間が経つと出てくる本作の植物の自然な青々しい苦みをやわらげたり、思いもよらない魅力を引き出しあうこともあるため、やはり本作でもコンバイニングはお勧めです。次の記事に紹介している和葉の香水をイメージした作品と重ねづけするのも、原作ファンならではの楽しみ方でしょう。
4.イングリッシュペアー&スイートピー(ジョーマローン)~フルーティーフローラル~【遠山和葉イメージ】
香りのノート
Top
イングリッシュペアー(洋梨)
Middle
スイートピー
Last
ホワイトムスク、サンダルウッド
4本目にご紹介するのは前回のコナン、新一、蘭、そして今回の平次と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、気さくで面倒見が良い元気な女の子ですが、大好きな平次のことになると勝ち気になってしまう、そんな女の子らしい一面が素敵な和葉みたいな、パステルカラーのような可愛らしい香りのコロンのイングリッシュペアー&スイートピー(ジョーマローン)です。
トップはイングリッシュペアー(洋梨)が中心の瑞々しい甘さのフルーティーノートのオープニングから始まり、洋梨ならではの豊潤な甘さを感じさせるのは、蘭のイメージフレグランスとして紹介した、イングリッシュペアー&フリージアと共通していますが、こちらの方が果実の甘さが強めです。和葉の溌溂とした天真爛漫さとロマンティックな乙女心が表れているようです。
時間が経ってもイングリッシュペアーのフルーティーノートの愛らしさを残したまま、ミドルのスイートピーのパウダリーめな清潔感あるフローラルノートにバトンタッチしていきます。女性らしくて清潔感のある爽やかさが魅力的です。和葉の純真な恋心や心根の優しい部分を感じます。
ラストになってもロマンティックなパステルカラーさは変わらず、ホワイトムスクやサンダルウッドを迎えることでよりセンシュアルに優しく肌に溶け合うように香っていきます。
遠山和葉の魅力は不器用な純真さです。普段は明るくて面倒見も良く気さくでお転婆な和葉ですが、平次のことになると恋する乙女になります。蘭と初対面の時、平次との関係を疑って酷い態度を思わず取ってしまいますが、それは色恋からの嫉妬心からでした。また、気が強いだけではなく平次にお守り持たせたり、ポニーテールにリボンをしたり、恋のおまじないを信じたり、可愛らしいものが好きな女性らしさもあります。
イングリッシュペアー&スイートピーは爽やかな清潔感があって女性らしいロマンティックな甘さが、可愛らしいパステルカラーを想起させます。お気づきの方はおられるかもしれませんが、前記事で蘭のイメージフレグランスとして紹介したイングリッシュペアー&フリージア(ジョーマローン)とは姉妹的な作品です。蘭の方が爽やかさが強めでフリージアの大人っぽさもありお姉さん的で、和葉の方はスイートピーの可愛らしさのある妹的な風に感じております。とても仲の良いお互いの恋を応援しあう二人の様子を香りでもお楽しみいただくのも良いと思います。また、平次のライムバジル&マンダリンとコンバイニングすることで、和葉の溌溂さが協調されるようになり、まるで平次と一緒にいると元気に明るくなるみたいでお気に入りの組み合わせでもあります。
5.ピオニー & ブラッシュ スエード(ジョーマローン)~ライトフローラル~【大岡紅葉イメージ】
香りのノート
Top
レッドアップル
Middle
ピオニー、ローズ、ジャスミン、カーネーション
Last
スエード
5本目にお届けするのは、平次や和葉と同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、上品な立ち振る舞いと気品、礼儀正しさに絶賛される容姿を兼ね備えたお嬢様で、平次に一途で和葉の恋のライバルでもある大岡紅葉のような、可憐でフェミニンな芍薬が主役のライトフローラルコロンのピオニー & ブラッシュ スエード(ジョーマローン)です。
付けた瞬間からキャンディのような果実とお花の華やかで甘美な香りが拡がります。アップルがよくあるフレッシュな青いグリーンアップルではなくレッドアップルだからこそ、ツンとせずにまろやかで艶めくように花々との調和を見事に果たしているのでしょう。はじまりからフェミニンで可愛らしい香りです。
時間が経ってミドルの頃になると、トップのレッドアップルはドライダウンして、本作主役のパウダリーなフローラルノートの大輪の花々が咲き誇っていきます。フローラルノートの中心となる芍薬を取り巻くのはローズ、ジャスミン、カーネーション(ジャコウ撫子)と、花のなかでも女性の美を称えるような花ばかりが中心で、あまりに華やかでエレガントに女性らしくふんわりとロマンティックに香っていきます。芍薬がメインだからかパウダリーさもあり、清楚感も強いためくどさもなくて肌馴染みも良いです。容姿端麗で気品ある紅葉嬢に付けていただきたいほどの品と華があります。
ラストでそんなセンシュアルでたおやかな花々を包み込むのは、ビロードのようにしなやかでほんの少し艶めきのあるパウダリームスキーなスエードです。スエードの持つ苦みがほんのりと女性性を際立たせてくれます。タイトルにもなっているスエードですが、そこまで強さはなく、どちらかというと名脇役的な立ち位置です。ですが、女性的なレザーのスエードの苦みによってふんわりと可愛らしいだけではなく、深みやしなやかな強さが与えられるように感じます。「から紅の恋文」で平次と和葉の関係性を悟って自らの失恋を予期して涙しても勝負を投げ出さず、実際に「茜色の千秋楽」で平次と和葉が成就してまた涙しますが、失恋の苦さがスエードと重なって、感情移入しそうになります。
大岡紅葉の魅力は最後まで諦めない強さです。競技かるたチャンピオンでかるたクイーンの異名を持ち、圧倒的な強さを誇りながら最後まで諦めないこともそうです。他には「から紅の恋文」で落としたお守りの師匠の写真が入っているパスケースを拾って届けてくれた蘭に対し、彼女がライバルである和葉と仲が良くても礼儀正しく恩義を持って対応する、心根の優しさや真面目さも感じられます。
幼いころに平次からプロポーズされたことをずっと一途に想い続け、離れていても心はつながっていると信じていたと平次と和葉の仲を悟りながら、自らの失恋を知ってそっと涙するシーンがあり、実は彼女は最初からいつか二人が成就するであろうことを知っていました。
さらに、平次からプロポーズされたことも自分の勘違いだったと最後に知りますが、それでも「茜色の千秋楽」で平次と和葉の恋が成就するまで、最後の最後まで勝負を投げ出さない本当に強い女王様でした。
ピオニー & ブラッシュ スエードは大岡紅葉のように気品があって女性らしく、美しくて芯の強さも感じられるという非常に華やかなパウダリーセンシュアルな花々の作品です。選ばれた花々の花言葉も中心の芍薬は「はじらい」、「誠実」、ローズは「愛」、「美」、ジャスミンは「優美」、カーネーションは「女性の愛」とどれも大岡紅葉にぴったりなのもあり選出させていただきました。大岡紅葉のように女性らしい美しさを感じたい時にも、負けられない勝負ごとのお守りにもお勧めしたい作品です。
6.シルバーバーチ & ラベンダー(ジョーマローン)~シトラスアロマティックハーバル~【伊織無我イメージ】
香りのノート
Top
グレープフルーツ
Middle
ラベンダー
Last
シルバーバーチ
6本目にご紹介するのは、平次や和葉、紅葉らと同じくイギリス(ロンドン)発の大人気フレグランスブランドのJO MALONE(ジョーマローン)より、西のトップクラスの財閥令嬢大岡紅葉の執事の伊織無我のように、落ち着きがあって大人っぽいラベンダーが印象的なシトラスアロマティックハーバルのコロンのシルバーバーチ & ラベンダー(ジョーマローン)です。
付けたてはグレープフルーツの皮の苦みが肌の上で感じられますが、それよりも目立つのはラベンダーです。香りが濃くてアロマティックながら、すっきりと涼し気に展開していくため邪魔にもならず、付けた時に違和感なども特にありません。濃厚なラベンダーが心地よく広がっていき、心を落ち着けてくれるそんな香りです。トップのグレープフルーツが落ち着いていくと、ラベンダーの柔らかい甘さが強調されていきます。昂った感情を一気に急降下するよう落ち着けてくれるようにも感じられ、休む時に嗅ぐと身体を緩めてリラックスさせてくれるので、眠る前に付けるのも良いと思います。
ラストになると、シルバーバーチ(白樺)の香りが主張をし始めていき、強烈なラベンダーと合わさって二重奏を奏でていきます。シルバーバーチはウッディ系の温かさというより、凛とした清涼感の方が勝ります。それでいて、ウッディらしくどっしりと構えていて、所々キリッとした格好良さもあり、紅葉を支える伊織の姿が思わず浮かんでしまいます。
伊織無我は紅葉と深い主従関係の信頼関係で結ばれている描写が多く、その理由が104巻と105巻を読むまではずっと解らずに謎の多い人だと感じていました。ですが、伊織と紅葉の出会いを見て、非常に腑に落ちました。
3年前、伊織は公安をやっていて紅葉の祖父である元総理大臣が別荘に滞在する一週間前に警備体制の点検に来ていて、紅葉は新しくできた別荘に祖父の車を借りて運転手と遊びに来ていて、その車から祖父がいると勘違いした暴漢たちが来てしまいます。二人は床下に隠れている時に出会い、伊織は逃げるように取り計らいますが、紅葉は逃げずに伊織の腕の傷を絆創膏すべてを使って手当をして、大は小を兼ねるというけれども小も大を兼ねると言って、最終的には二人で脱出して、その時のことがきっかけで公安をやめて紅葉の執事になったと描かれます。その時も事件に巻き込まれますが、紅葉が刺されそうになるのを身を挺してかばったことからも二人の信頼関係の深さが伺えます。
シルバーバーチ & ラベンダー(ジョーマローン)は冷静沈着でクールに見えて、相手に寄り添う優しさも兼ね備えた有能な執事の伊織無我のような作品です。少し疲れた時や不安で安らぎたい時に気持ちを落ち着けてくれるのも、伊織さんのようです。コンバイニングで言うならば、大岡紅葉のピオニー & ブラッシュ スエード(ジョーマローン)とも相性抜群で、一緒に付けるとハーブにウッディ、フローラルと植物の生命力の力強さにラベンダーとピオニーの甘さが重なり合って深みもでてお勧めします。
7.ヤングローズ(バイレード)~アロマティックフローラル~【灰原哀イメージ】
香りのノート
Top
アンブレットシード、華北山椒
Middle
ダマスクローズ、アイリス
Last
アンブロクサン、ムスク
7本目にお届けするのは、感情と記憶をテーマにした、複雑ながら洗練されていることに定評があるスウェーデン発のフレグランスブランドのバイレードより、灰原哀のように気品ある女性らしさと知性に、若さの可能性を称えた新たかさに満ち溢れた、クラシカルさと新しさが同居するローズフレグランスのオードパルファムのヤングローズ(バイレード)です。
トップからメインのエレガントなダマスクローズの香りがしながらも、華北山椒と重なることで情熱的に弾けるようなフレッシュさを呼び覚まします。パウダリーな甘やかな香りを感じるのは、アンブレットシードでしょう。人によってはピーチのような果実っぽさをほんのり感じる方もおられるようです。ただし、あくまでフレッシュで目覚めの良いローズがスタイリッシュに透明感を持って躍動的に香っています。あくまでローズのエレガントなイメージを壊さないように新しくです。
ミドルになっていくと弾けるようなトップはドライダウンして、代わりにダマスクローズが強まり、パウダリーでシックなアイリスも現れ始め、エレガントなムードが強くなります。このフレッシュなローズとパウダリーで大人なアイリスの対比が素晴らしく、今の灰原哀とシェリーだった頃の大人の宮野志保のようにも感じられます。
ラストではアンブロクサンやムスクと混ざり合うことで、よりセンシュアルでパウダリーになっていき、まるでローズのソープのようにも感じられ、肌馴染みも良く肌と一体化するようです。そして、柔らかに清潔感を感じさせながら静かにドライダウンしていきます。
灰原哀の魅力は、周囲と心を通わせることで影響を受けてきた変化です。灰原哀は単行本18巻から原作に出た当初は悲壮感が強く、未来に対する希望も感じられずに周囲とも距離を取ってどこか心を閉ざしていました。組織で薬をずっと作っており、唯一の肉親であった姉の宮野明美を殺されたことで離反して、薬を飲んで幼児化して阿笠博士が拾ってくれたものの、組織に追われる身となったがために周りの人間に危害が及んでしまうと塞ぎこんでいたからです。
映画「天国へのカウントダウン」でも脱出の際に爆弾のカウントダウンを数えるのを残り30秒切っても止めずに確実に見える位置で続けてそのまま死のうとしました。
しかし、29巻「謎めいた乗客」でのコナンからの自分の運命から逃げるなという言葉や、42巻「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」で蘭が組織の襲撃から身を挺してかばった時に彼女を姉の宮野明美と重ねるようになったこと、43巻「お尻のマークを探せ!」で事件の証言者である歩美が安全か、事件解決のために犯人に狙われるリスクを背負いながら協力するか選択を迫られた時に、身を引くのも一つの勇気と哀から諭されても、歩美は逃げないことを選択し、犯人逮捕に至ったことなどから、以前の彼女からでは考えられない選択をしました。
FBIの証人保護プログラムを辞退し、コナン達と別れて安全な場所に身を置くのではなく、一緒に組織に立ち向かう選択です。
灰原哀の魅力が描かれている極めつけは、映画「黒鉄の魚影」です。彼女は組織に小学生の頃にアメリカで同級生だったエンジニアの直美と共に拉致されますが、二人には開発品が組織に利用されて周りの人間が不幸になっていくことや、肉親が組織に命を狙われる(奪われる)など、あまりに境遇が似すぎていて、直美が発明したシステムがきっかけで父を組織に撃たれて絶望して心を閉ざした時に、子供の言葉や行動で人生は変わることもあって自分は変われたから信じて欲しいと哀は直美を勇気づけます。
そして、哀は脱出しようと諦めずに自分の運命に抗い続けました。これは、出た当初や天国へのカウントダウンの灰原哀では考えられなかったことです。殻に閉じこもっていた自分から、差し出された手を受け取って相手を勇気づけるように成長した姿は、可能性ある若さを称えて作ったヤングローズにもぴったりだと思いました。
ヤングローズ(バイレード)は従来のローズのエレガントなイメージを大切にしながらも、華北山椒をユーモラスに使用した若々しいフレッシュな新しさを表現した、灰原哀のエレガントで気品あって知性的なイメージに合いながらも、灰原哀のしてきた変化を描いたような作品です。変わりたいけど勇気が欲しいことがある時にもおすすめです。
8.エンディミオンコロン(ペンハリガン)~アロマティックスパイシー~【怪盗キッドイメージ】
香りのノート
Top
ラベンダー、ベルガモット、セージ、オレンジ
Middle
コーヒー、ゼラニウム
Last
サンダルウッド、ミルラ、レザー、ナツメグ、カルダモン、ペッパー、ムスク、ベチバー、インセンス
最後にお届けするのは、従来の伝統に縛られずに画期的でクリエイティブな新たな作品を世に生み出し続けてきたイギリスのフレグランスブランドのペンハリガンより、ギリシャ神話の月の女神セレーネに愛される美青年エンディミオンからインスパイアされた、月下の奇術師の怪盗キッドによく似合うアロマティックスパイシーなオーデトワレのエンディミオンコロン(ペンハリガン)です。
トップは清涼感のある涼し気なハーバルのラベンダーにセージが香り、そこに爽やかなシトラスのベルガモットとオレンジが添えられて、奥まったコーヒーの香ばしさも不思議に感じられるという、スタイリッシュで爽やかで格好良い月夜を翔ける怪盗キッドのお出ましです。
ミドルに移るとトップでもほのかに香っていたアロマティックで香ばしいコーヒーの存在感が増して、ゼラニウムのまろやかな甘さと絡み合うことで重くなりすぎずに、ハーバルにコーヒーという不可思議で軽やかなミステリアスさを保っています。怪盗キッドが探偵たちに大胆に謎解きの挑戦状をたたきつける光景が目に浮かびます。
ラストまで来ると、レザーやムスク、オリエンタルなサンダルウッド、インセンス、ミルラ、ベチパーに、スパイスのナツメグ、カルダモン、ペッパーと大胆にも様々な香りがスモーキーにそして華麗に肌の上で混ざり合います。沢山の香料が使われているのに違和感を感じずに、ミステリアスさに翻弄されていくのは、月下の奇術師が魔法をかけているからでしょう。
怪盗キッドの魅力はスタイリッシュに月夜を駆け抜ける格好良さや、怪盗キッドこと黒羽快斗が主役の「まじっく快斗」シリーズのヒロイン、中森青子のことを大切にしており、父親の中森警部が取り逃がして苦心しているキッドのことで落ち込む青子に青い薔薇をプレゼントしたり、(青子はキッドの正体を知らない)そして、その青い薔薇は青子にしか渡していなく、特別な意味を花に込めるというジェントルマンでロマンティックな部分など沢山ありますが、飄々としているようで怪盗をしていく上での彼なりの信念や正義感が何より魅力だと私は感じています。
宝石を盗むのは先代の怪盗で謎の死を遂げた父親が居て、父は組織に殺され、不老不死のための宝石を狙っている組織に抗うために宝石を求め続けているのです。なので、求めている宝石でないと知ったら元の場所に返したり、「キッド&高明狙われた唇」ではフェアリーリップと呼ばれる宝石を正当な持ち主に返す義理の厚さも描かれていて、非常に原作でも人気の高いキャラクターなのも頷けます。
エンディミオンコロン(ペンハリガン)は月夜のイメージで大変ミステリアスで清涼感もあって爽やかに身にまとえて、怪盗キッドのことをイメージして推し活をしたい時は勿論、お風呂上がりの火照った身体や夜の空気を楽しみたい時などにもおすすめしたい作品です。
以上が名探偵コナンのキャラクターのイメージに合った香水紹介の後編でした。
いかがだったでしょうか。気になる作品は見つかりましたか?
もし、推しキャラクターのことを香りでも楽しんでいただける一助になれたら、コナンファンとしても香水ライターとしても大変嬉しく思います。
ただし、苦手な香りや肌質に合わない香料が入ってしまった場合もあるかとは思います。
そうした時はCelesのサービスで、フレグランススタイリストが推しの香水を選ぶCeles推し活がおすすめです。
一人ひとりにあったパーソナルな嗜好を反映させるほか、今回載っていなかったキャラクターや他のコンテンツにも勿論対応しています。
それでは暑い夏が続きますが、水分補給にお気をつけてお過ごしください。
以上、香水ライターの凛でした。
凛
香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。