「香水を買ってみたいけれど、どんなものを買ったらよいか分からない」
「大人気とおススメされてたのをとりあえず買ってみたけど、自分には合わなかった」
このように香水を使ってみたいけれど選び方が分からないという方に、本記事では選ぶ際の重要なポイントと、自分に「ぴったり」な香りの探し方のヒントをいくつかお伝えいたします。
一番大事なことは、自分が心から愛せる香りかどうかということです。
大事なことは心から愛せる香りを選ぶこと
大前提に香水を選ぶときは「心から愛せる香りだと感じられること」を妥協してはいけません。少しでも妥協をした時点で香水選びは失敗します。
もう一度申し上げます。香水選びにおいては、少しでも香りへの好きな気持ちを妥協しないことがとても大切なのです。だから、「好き」ではなく心から「愛せる」香りと申し上げました。
部屋のインテリアを買う時は色が若干イメージと違っても許容することはあると思います。食事をして少し酸味が強かったけど、結構美味しかったと許容することもあるでしょう。
それでも支障がでないのは、これらは「嗅覚」を中心に判断をしていないからです。
嗅覚は視覚、聴覚、味覚などの他の感覚器と違い、思考を司る部位である視床・大脳新皮質を通らず、ダイレクトに感じることを司る部位の大脳辺縁系へ伝わります。そのため、五感の中で最も本能的だと言われています。
また、0.2秒足らずで香りを嗅いだ時の感覚を人間は判断しているとも研究されています。
思考を一切通さずに本能的に感じる器官で味わうものだからこそ、香水選びでは是非、「好き」を大切にしていただきたく思っております。
◆心から好きな香りを選ぶには？
今からご説明させて頂く手順をお試しになるとやりやすいのではないかと思います。また、女性らしい香りには薔薇があった方が良いだとか、付けやすいのが良いから柑橘系が強いものが良いとか、この香り人気だからなどの先入観に縛られず、心の声を聞くことが大切です。
◆好きな香水を選ぶ手順
香水を無造作に数本選びます。次に選んだ香水をムエット（本のしおりみたいな紙のこと）に出して3分くらい置いて、アルコールを飛ばしてから好きな香りか、苦手な香りかに分けてみてください。
そして、好きと感じた香りをそのまま30分くらい放置してもう一度嗅いでください。最初とは香りが変わっている筈です。この時点で好きだったのに苦手な香りになったかもと感じたものもあると思いますが、気にせずに好きな香りのままのものに目を向けてください。
その中で気に入ったものを2つ両手首にそれぞれつけて、アルコールが飛びきったと思ったら嗅いでみてください。
ムエットを通して嗅いだ香りとご自身の肌に乗せた香りが異なることに驚かれるかも知れませんが、香水は体温によっても香り方が異なります。
そのため、あなたの肌に付けてみないと、あなただけの香りにはなりません。なので、自分の肌に付けることを遠慮してムエットに少し付けて良い香りだと思って購入するというのは、よくありがちな失敗パターンの一つです。
そのまま手首に付けた香水と最初の付けたてのトップノートから、30分後からのミドルノート、最後の3時間後のラストノートまで一緒に過ごして、感覚を味わいきってみる。そうすると、好きな香水かどうかが見えてくる筈です。
この手順で好きな香水が見つかることもあれば、そうではない香水も見つかることでしょう。しかし、香水を試していくうちに段々と感覚が磨かれていきます。
「私はフローラルが好きなのかな？」から
「私はフローラルが好きで中でもウッディーフローラルが本当に好き。フローラルの華やかさに樹木の落ち着きも入るのがとても好き。オフィスでも付けやすくて助かる。
香料の花は一番は薔薇が好き。強めな赤い薔薇も好きだけど、優しい甘さある白い薔薇の方が好き。香料の樹木はクールなサイプレスとかっていうより、ぬくもりが欲しいから温かみあるスパイシー感が強いシダーウッドの方が好きかな。アンパーウッディとかも結構好き。そして、……」
こんな風に自分の中の「好き」の感度も洗練されていきます。
そうなると、まるでプロファイリングのようになり、ピッタリな香水がどういったものか浮かんでくると思います。
好きな香りを選ぶことは意外と難しくて、とても奥深い
「好きな香りを選ぶ」なんて当たり前では？と思われるかも知れません。
ですが、本当に心から好きな香りを選ぶことって意外と難しいのです。
もし、「あなたはどんな香りが一番好きですか」と訊かれたら何と答えますか？
言葉に詰まらずにこれだ！と即答できる方はフレグランス初心者さんですと特に難しいと思います。
香水を付け始めた頃もそうだったのですが、10年以上経った今も香りを選ぶことの難しさと奥深さを感じています。
例えば、お花の香りが一番好きですと言っても、王道のエレガントな女性らしいフローラルのほか、柑橘系のはじけるような元気なシトラスフローラル、エキゾチックでスパイス利く魅惑的なオリエンタルフローラルなど、香調は多岐に渡ります。
他にも果実の瑞々しい甘さが溶け合うフルーティーフローラルもあれば、お菓子のような濃厚な甘さのグルマンフローラル、樹木のぬくもりや落ち着きあるウッディーフローラルetc。
そして、作品の中には樹脂系を中心とした男性的なフローラルといった、これまでのフローラルの女性的なイメージの前提を覆した個性的な作品もあります。
使われる花も薔薇、ジャスミン、スズランにライラックと代表的な4大フローラル以外でも、ネロリ、クチナシ、ユリ、ミモザ、フリージア、アイリス、カーネーション、桜、バイオレット、チュベローズ、マグノリアなどそれぞれ香りの個性が異なる沢山の花が香料となっています。
さらに言えば、同じ花同士であっても品種によって香り立ちも異なります。薔薇の香料で有名なダマスクローズの香水ばかり嗅いだ後に、真っ白な薔薇のローズアルバを嗅いだら、衝撃を受けることでしょう。
先ほど、先入観に囚われないことが大切とお伝えしましたが、このように自分の中で考えていた先入観が
良い意味で崩れるというのは、10年以上経った今でもあります。
その度に毎回感動して、次はどんな世界が広がるのだろうと、香水のことを知れば知るほど楽しめていきます。
なので、一本一本との出会いを皆様にも大切にしていただきたく思います。
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清原香子
香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルールドローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。
