こんにちは、ライターの凛です。
そろそろ冬に向けて衣替えの時期となってきましたね。
さて、先月は年に一度の香水の国内最大級祭典サロン・ド・パルファンが開催されました。
皆さん、行かれましたか?私は今年も行ってきました!
毎年行ってこの時に珍しいブランドの作品の香りを体験するだけでも楽しいのですが、「サロン・ド・パルファン貯金」をして厳選した作品を金額を理由に諦めず、自由に購入することが何よりも至福の時間なのです。
そして入手した数々の作品は私の香水棚のコレクションとなり、ボトルを飾るだけではなく日々身に纏っています。
日々増え続ける棚を見た母から、そんなにたくさん全部使えているのかと聞かれたこともありましたが、使えています。
確かに以前はラグジュアリー過ぎる作品を使うシチュエーションに悩んだり、使用するイメージが沸かずに特定の作品ばかりとなり、そのままになってしまったこともあります。
ですが、今ではすべて自然と必要な時や欲しい時に扱えています。
今回はサロン・ド・バルファンに限らず今まで購入した香水から6本厳選して、作品や購入した背景のご紹介とともに、私なりの作品との向き合い方についてご紹介させていただきます。
今あるお手持ちの作品がより、あなたの大切な時間を彩るものとなるように一緒に見ていきましょう。
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今まで買った香水6選
1.Poeme de Sagano-サガノの詩/ELLA K-エラケイ(シトラスグリーン)
香りのノート
バンブー、ユズ、グレープフルーツ、ミント、ユーカリ、ベルガモット、グリーンティー(抹茶)
サガノの詩(エラケイ)はサロン・ド・パルファン2018にて私が最初に買ったエラケイの作品で、その時は前々から気になっていたメモワール・ド・ダイセンイン(エラケイ)と購入を迷いに迷って、後者はミニチュアボトルを購入特典で付けられたため、サガノの詩の方にしたことを憶えています。
本作品はトップやミドル、ラストの分類はなく、終始、和の爽やかさと青みや苦みのするシトラスグリーン調で、独特な主題である香料の竹の香りと柑橘の柚子が特徴的な作品です。
竹林を思わせる清々しさを涼し気なユーカリとミントの風が駆け抜けて、柚子の特徴の一つである酸味と甘さのバランスの良さを、グレープフルーツが際立たせるように伴奏しながら、同時に柚子ならではの上品な和の香りも浮き彫りになり、それが竹林に差し込む光のように感じられます。アロマテラピーの世界ではブリッジ精油と呼ばれるほど、香り同士を調和させるベルガモットですが、今回も竹林と差し込む光が綺麗にハーモニーを奏でている影の功労者と言えます。
セレスの分類でも春夏とあり、サロンドパルファンの頃の秋冬には厳しいかも知れないと少し心配しておりましたが、そんなことはありませんでした。
秋冬でも朝に身に纏うと清々しい一日が始まると感じられ、本作は和の要素も強いため、1月の和を感じられるお正月に付けるとそうした気分に浸ることができます。
また、爽やかなシトラスグリーンのため、仕事前にも付けやすいというのも素晴らしいです。
本作を私は仕事のオンの時や、清々しくリフレッシュしたい時に使っています。
身に纏うポイント:シトラスグリーンをはじめとした春夏向けの爽やかなグリーン調の香りは、秋冬でも仕事の時や朝のすっきりしたい時間帯にお勧めです。
2.Luna Roja-ルナロハ/Fueguia1833-フエギア(ウッディグルマンフローラル)
香りのノート
トニックノート:Oakwood(オークウッド)
ドミナントノート:Rose(ローズ)
サブドミナントノート:Plum(プラム)
ルナロハ(フエギア)はサロン・ド・パルファン2019のちょうどコロナ禍直前の会期の時に購入した、フエギアでは3本目の作品です。肌に付けた瞬間芳醇な赤ワインと薔薇の香りがして、今までにありそうでなかった甘美な組み合わせに惹かれて購入を決めました。
※フエギアでは1本の作品に100種類以上の植物から採取される原料を扱っております。そのため、一般的なトップ、ミドル、ラストの順に香りが一過性に変化する方式ではなく、終始主題となる香りを中心に全体が調和するように寄り添う独特な香り方として作られています。フエギアの独自性に関してはこちらもご参照ください。
本作品は芳醇な赤ワイン香水で、その甘美さをありとあらゆる手法で表現してきます。
芳醇な赤ワイン、蜂蜜っぽい貴腐ワインのような葡萄酒の甘さが漂いますが、グルマンと言うには少し大人っぽく、渋さも微かに感じられる大人な作品です。それはトニックノートであるオークウッドが樹木の渋さを与え、樽に入っている葡萄酒の様子やコルク栓の香りが連想されます。ワインのアロマティックなフルーティーさもサブドミナントのプラムから感じられますが、ドミナントである華やかな薔薇の存在感の方がやや強く、こちらも赤ワインのフローラルフレーバーのようです。
甘美な蜂蜜のようなワインが秋冬の寒い日に温めてくれるのは勿論、仕事を頑張ってクタクタに疲れて帰った時にもお勧めです。付けると季節を問わずに幸福感をもたらしてくれるため、実は夏場でも何かを頑張った時は私自身、夜に付けることがあります。
まさにご褒美のとっておきの高級な貴腐ワインのようです。
身に纏うポイント:甘いグルマン系は秋冬だけではなく、仕事を頑張った夜に付けると幸福感を味わうといった使い方もできます。
3.Chamber-チェンバー/Fueguia1833-フエギア(グリーンドライ)
香りのノート
トニックノート:Fondo de Lago(湖の底)
ドミナントノート:Barba de Viejo(サルオガセモドキ)
サブドミナントノート:Mate Leaf(マテの葉)
チェンバー(フエギア)はフエギアで初めて購入した、一番好きな作品です。六本木本店に初来訪した時に、立ち並ぶボトルの上に逆さにしたフラスコで試香していき、この子を嗅いだ瞬間、稲妻に打たれるほどの衝撃を受けました。長年最も愛した廃盤になった香水(土被った薔薇のウッディーフローラル)の代わりになるような作品を探しても見つからず、全く香調も異なるのに思わぬところで、出会えたからです。そのまま購入したい欲求を堪えて、手首で肌との相性を確認すると、紛れもなくこの子は私のパートナーになると確信し、出会いから7年経った今もその地位は揺らぎません。
本作品は草の青みや苦みが強く、雨が降った後の草原の土っぽさやひんやりとする湿り気も感じられて、同時にどこか微かな植物の甘さも感じられる、不思議なとても癖の強いグリーンノートです。
吹き付けた瞬間から空気を一瞬清々しくするような感じがし、すぐにグリーンの青臭さや厳しい苦味が押し寄せてくるのは、紛れもなく、苔の仲間で空気を浄化する植物サルオガセモドキでしょう。
マテの葉とあるもののティー香水とは程遠く、ただ爽やかな植物として存在します。湖の底の香料があるからか、すぐにひんやりとして、草の奥に潜む甘やかな香りがします。果物や花ではなくあくまで草木の植物が芽吹く生命力の強さからくる微かな甘やかさです。
落ち込んだ時は力強く支えてくれて、高揚している時は落ち着くように中心に戻してくれる不思議な作品です。
植物が生まれる季節である春に合い、暑い夏に付けると涼やかに感じられる作品ではありますが、秋の夜長の時や冬の早朝の凛とした空気にも大変似合う作品でもあります。私自身、心をニュートラルにしたい時や一人で出かける時は勿論、夜寝る前に付ける寝香水として扱っています。
身に纏うポイント:癖が強くて付ける時と場を選ぶ作品こそ、一人で過ごす時間や夜寝る前の寝香水として積極的に身に纏う楽しみにできます。
4.Rachmaninoff Piano concerto No.3-ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番/La Nuit parfume-ラニュイパルファン(フローラルシプレ)
Top
ベルガモット、ペッパー
Middle
ローズⅠ、ジャスミン、金木犀
Last
ローズⅡ、オークモス
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番(ラニュイ)はサロン・ド・パルファン2023にて後述するクリードのラブインホワイトと、台湾茶の香水と一緒に購入した作品です。私自身、元々クラシック音楽が好きで、クラシック音楽を香水で表現するラニュイのことは以前から気になっており、昨年リリースされたばかりの新作であった本作を購入しました。
ラフマニノフは前奏曲嬰ハ短調から知り始め、独特な暗さのある作風に惹かれています。本作の題材であるピアノ協奏曲第3番は総演奏時間40分もの大曲で、抒情的で苛烈な旋律をしており、遺憾なくラフマニノフの円熟した豊かさが発揮された傑作です。
本作は花の王と女王であるジャスミンとローズを使い、ローズに至っては2種類がミドルとラストで使用されるという、非常に贅沢な、それでもこの上なくピアノ協奏曲第3番を表現しているシプレノートです。
付けるとすぐにローズとジャスミンの豪奢な波が押し寄せて、そこにマダガスカル産のペッパーが苛烈に交わります。ローズが二種類もミドルとラストに使われているからか最も強く香り、それでもこってりマダムっぽくひきずらないのは柑橘ベルガモットも入ったフローラルシプレノートだからです。我々に馴染み深い懐かしい気持ちにさせる金木犀が少し入っているのも大きいでしょう。終わりは高貴なオークモスに包まれながら決然と立ち消えて、石鹸のようなパウダリー感も感じられます。
晴れやかな日も良いのですが、案外雨の時に付けたくなる、明るくしてくれるような香りです。また、意外とくどさがないため、友人同士でカジュアルに遊ぶような時も付けやすいです。それこそクラシック音楽鑑賞に付けたり、ミュージカルなどの芸術に触れる時にも手が伸びると思います。
身に纏うポイント:音楽や絵画、小説などの元のモチーフになっている作品は芸術鑑賞との相性がよく、実際の原典に触れると付け方の幅が拡がります。
5.Love in White-ラブインホワイト/Creed-クリード(パウダリーホワイトフローラル)
香りのノート
Top
オレンジ、 アップル、 アプリコット
Middle
スイセン、アイリス、マグノリア、ライス、ジャスミン、ローズ
Last
ムスク、シダー
ラブインホワイト(クリード)はサロン・ド・パルファン2023で前述したラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番(ラニュイ)や台湾のティー香水と一緒に購入した作品です。元々クリードおよびラブインホワイト自体は、日本から一度撤退する前から存じており、ラブインホワイトはいつか購入したい憧れの作品でした。なので、再上陸が決まった時は非常に嬉しく、そのまま時期も近いサロン・ド・パルファン2023で購入したのです。
本作品は爽やかさもある王道なまるで純白そのもののようなパウダリーホワイトフローラルです。
付けるとマグノリアとジャスミンが奏でる白い花の香りと共に、トップのオレンジ、アップル、アプリコットと果物の爽やかな甘さがマリアージュします。水辺に咲く花のひんやりとした水仙の清涼感ある甘さに、本作の特徴的なライスのクリーミーな温かい甘さが互いの良さを引き立て合います。
フローラルの香りがしっかりと主張するのに不思議と嫌みや押しつけがましさもなく、そっと優しく寄り添ってくれる聖女のような香りです。次第にアイリスにムスクとパウダリー感が強くなり、石鹸のように感じられて一部始終自然です。まるで粉雪がそっとキラキラと太陽の光に輝くそんな情景さえ浮かびます。
表記にも春夏とあり、花の季節の春は勿論、清潔感や涼やかさもあるため夏にも合うと思います。ですが、逆に私は冬にこそ付けたい香りだと個人的に考え、大抵冬の時期に付けています。理由としてはラブインホワイトを雪のような純白の花の香りと捉えており、冬の空気が澄んだ時こそ本作の清らかさが際立ち、ホワイトフローラルがしっかりと香っているため、美しく香ることを実感しているからです。
身に纏うポイント:公式サイトやレビューでおすすめされている季節に囚われず、自分の感性のまま自然と付けられると香水選びはより楽しくなります。
6.Love Don’t Be Shy-ラブドントビーシャイ/Kilian-キリアン(グルマン)
香りのノート
Top
ネロリ、ベルガモット、ピンクペッパー、コリアンダー
Middle
オレンジブロッサム、ハニーサックル、ジャスミン、アイリス、ローズ
Last
シュガー、バニラ、キャラメル、ムスク、ラブダナム
ラブドントビーシャイ(キリアン)は当時コロナ禍真っ只中の3年前の冬の時期に店頭で試して、濃厚で甘くて寒い時に温かく感じられそうなのと、外出もできない自宅の時間が増えるからこそ、そういう時の自分の心を満たしてくれそうだと購入しました。
本作品は表題通り、愛を表現した甘い甘いお菓子が主役のピュアなグルマンです。
付けた瞬間から外国の甘いお菓子のような香りが全開で押し寄せてきます。マシュマロやホワイトチョコレート、キャラメル、バニラ、キャンディとさまざまなお菓子が脳内を駆け巡り連想されます。クリスマスに登場するギモーブが近いかも知れません。トップにオレンジの花ネロリとありますが、フローラルとしてのネロリではなくネロリの砂糖漬けのようなイメージです。そこに柑橘のベルガモットとほんのちょっぴりのスパイスが効いてます。
ミドルになると本作の主役であり香料の半分くらいを占めているのではないか?と感じられるほどのハニーサックルこと蜂蜜の香りがひたすら甘く香ります。花として存在感のあるジャスミンやローズまで押されるほど激しく濃密に香ります。ラストに辿り着くと甘やかさを抑えていたであろうベルガモットが完全に消失しており、代わりにシュガー、バニラ、キャラメルとお菓子の香料も加わり、むせ返るほど濃密になります。
本作に関しては寒い季節に付けることを基本的にはお勧めしますし、私自身も夏に付けることは基本的にはありません。その代わり真冬になると毎日のようにつけます。疲れ切った時の癒しとしても勿論、人と会えていなくて寂しいと感じる時に付けるととっても幸せな気分になれます。
2番目にご紹介したルナロハ(フエギア)と被っていると思われるかも知れませんが、あちらに関してはワインのようなイメージで大人っぽさもあり、お菓子が中心のこちらは童心に還るような感じでも使用できます。このように一見被っているというものでも、香水と触れ合っていけば自然と使い分けがみえてきます。
身に纏うポイント:一見同じノートで役割が被っていると感じる場合は、気候や心境の変化に着目してどちらを纏いたい?と心に問いかけると、ちょうどよい使い方がそれぞれ見える場合があります。
最後に
以上、本記事では香水の使い分けのコツについて、私、凜の実体験を交えながら、いくつかお伝えしてきました。
購入したは良いものの上手く使いこなせない、日常的に使いにくいとそのままにしている作品でも、もし、あなたがその作品の香りを気に入っているならば、必ず使い道というものは見えてきます。
また、購入した時は良いと感じても今はそうではないという場合は気候や季節、女性の場合は月のバイオリズムによっても香水の感じ方は変わるため、タイミングをずらしてみるのも良いかも知れません。
もし、本記事によってあなたの香水ライフがいっそう豊かなものになったならば、光栄に思います。
凛
香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。